2015.05.15更新

では,働き手が会社から独立した「事業主」であるか,それとも指揮監督を受ける「労働者」であるかはどのように区別するのでしょうか?この場合,契約書等の名称ではなく,働き方に着目する必要があります。①仕事の依頼を断る自由がない②仕事を進めていくなかで具体的で細かな指示がある。③出・退勤の自由がなく,勤務時間をタイムカードなどで管理されている。―ような働き方をしている場合であれば,「労働者」にあたります。ですので,仮に「請負」「業務委託」という形式がとられていたとしても,最低賃金法等の抜け穴にするためのいわゆる「偽装請負」「偽装業務委託」といえるでしょう。

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投稿者: 今村法律事務所

2015.05.15更新

一人親方で仕事をしている方がいらっしゃいますが,請負や業務委託という形式をとっている場合,労働法関連の適用は受けないのでしょうか?特に最低賃金の問題が深刻です。熊本県の最低賃金は677円(平成26年10月1日改定時)ですが,一人親方で工事をして日当を6,500円もらっていても10時間働いているような事例が考えられます。この場合,「請負」「業務委託」だからという理由で最低賃金以下のお金しかださないことは許されるのでしょうか?この事例の場合,働き手が会社等から独立した「事業主」なのか,それとも指揮監督を受ける「労働者」なのかがポイントです。仮に,労働者であれば,事例の場合は,時給換算で最低賃金に届かないお金で働かせていることになります。最低賃金法4条は,「使用者は,最低賃金の適用を受ける労働者に対し,その最低賃金を支払わなければならない。」と定めており,同規定に違反して最低賃金未満の賃金しか支払わなかった使用者には50万円以下の罰金が科されることになります(最低賃金法40条)。

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投稿者: 今村法律事務所

2015.05.12更新

裁量労働みなし労働時間制は、実際に働いた時間の如何にかかわらず一定の時間だけ労働したとみなす制度です。ですから、「残業隠し」「残業時間削減」のための隠れ蓑として利用され、長時間労働に結びつく恐れもあります。また、会社が正確な労働時間を把握しないことになり、長時間労働により過労死した場合等に、過労の認定の重要な判断材料となる労働時間についての資料が不明確になるという問題点があります。裁量労働制下で証券アナリストとして勤務していた男性労働者が心疾患で亡くなった事件で、三田労働基準監督署は男性の発症前1か月の残業を133時間、発症前2から6月の平均残業時間を108時間と認定し、労災認定しました(なお、過労死の労災認定は、直前の1か月の残業が100時間を超えるか、発症前2から6カ月の残業時間が月平均80時間を超えることが基準です。)が、男性労働者が発信したリポートの発信記録等から労働時間を推測できたためであり、労働時間が不明確であいまいな裁量労働みなし労働時間制の下では極めて異例であるといえるでしょう。

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2015.05.12更新

裁量労働みなし労働時間制とは、裁量性の高い労働に従事している者(例えば、ソフト研究開発職、システムエンジニア、証券アナリストなど)については、労使協定の締結・届出などの一定の条件を満たせば、実際に働いた時間ではなく予め定められた一定時間(みなし時間)働いたものとみなす制度です。仕事の進め方に何がしかの自由裁量があればその仕事は裁量労働になるのではなく、法定の対象業務に該当し、かつ時間配分について自己決定権を現実に行使しうる働き方をとっている場合にのみ認められます。現在、専門職の裁量労働みなし労働時間制(1988年4月から施行・労基法38条の3)と企画職の裁量労働みなし労働時間制(2000年4月から施行)の二つの制度があり、それぞれ適用の手続要件も異なる2つの制度が並立しています。

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2015.05.07更新

数年前、ある自治体が職員に対して入れ墨についてのアンケートをしたことが話題になりました。ところで、従業員の服装や髪形などの身だしなみについて、勤務先である企業等はどこまで口出しできるでしょうか?裁判でよく問題になるのは、口ひげや長髪などの服務規定があるにもかかわらず、それに従わない従業員を懲戒処分にした場合等に、従業員側が不服として裁判を起こすケースです。これについて、とくに髪形やひげの制限は、基本的に個人の自由に属するだけでなく、これが制約されれば勤務時間を超えて私生活にも及ぶものです。したがって、服務規程でこれらを規制するにはより慎重であるべきといえるでしょう。裁判例でも、長髪を一律に禁止した就業規則には合理性は認められないとしたものや、不快感を伴わない単なる口ひげは髭を禁止した服務規程に違反しないとしたものなど個人の自由に対して過度な制限は認められないとするものが多くあります。

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2015.04.28更新

では,有期雇用契約でも形式的に更新が反復されているのではなく,期間の満了毎に本人の更新の意思確認がなされているような場合はどうでしょうか?実質的には期間の定めのない労働契約とはみなせないので,使用者は自由に雇い止めをすることが出来るのでしょうか?これについては,労働者が雇用の継続を期待している場合にも,雇い止めは正社員の解雇と同等の基準で正当かどうかが判断されます。ただし,労働者が内心で雇用の継続を期待しているだけでは駄目で,当該雇用の臨時性常用性,更新回数,雇用の通算期間,雇用継続の期待を持たせるような使用者の言動等から判断されることになります。なお,雇い止めを巡るこうした判例理論の積み重ねが平成24年8月に法律に規定されました(労働契約法19条)。

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2015.04.28更新

6か月契約の短期労働契約で雇用されたあと契約更新を反復して9年間同じ会社に勤めた場合,労働者が労働契約の更新申し込みをした場合に使用者はこれを自由に拒絶できるでしょうか。これは,いわゆる「雇い止め」の問題です。民法上は契約を締結することは自由なので,通常の契約であれば契約をしないこともできます。しかし,労働契約の場合は異なります。つまり,労働契約の更新手続きが形式的なものであって反復更新されて雇用が常態化されている場合,実質的には期間の定めのない契約であるとして,正社員を解雇する場合と同様の基準により雇い止めが正当であるかが判断されます。

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2015.04.20更新

パワハラかどうかが問題になる場合として,単に指導の領域を超えて上司の権限に基づいて異動を命じた場合にパワハラとなるのかどうかという問題があります。これについてリーディングケースとして,3回の配転命令を命じられた社員の訴えに対する東京高裁平成23年8月31日判決があります。社員が従来経験したことのない業務への異動については,業務上の必要性の有無,各配転命令の目的等に照らして会社が人事権を濫用したかどうかで判断されることになると示しました。そして,3回の配転命令すべてに人事権の濫用があったと認定し,社員の訴えを認めました。このように,配転命令が人事権の濫用と認定できる場合は昇給昇格の機会を失わせ人格的評価をおとしめることになるので損害賠償の請求も可能になります。

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2015.04.20更新

パワハラの被害にあった場合,どのように対処すればよいのでしょうか。パワハラが原因でうつ病などの精神疾患を発症したり,自殺に至ったりした場合には,労災認定を求めたり,パワハラ行為をした個人や対策を怠った企業を相手取り,民事上の損害賠償を求めるという対応が考えられます。ただ,男女雇用機会均等法がセクハラ防止措置を事業主に義務づけたのに比べると,パワハラ防止措置の法令は今のところ未整備です。

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2015.04.20更新

会社の上司であれば,ミスをした部下を叱る場面があります。これは,どんな場合にパワー・ハラスメント(パワハラ)になってしまうのでしょうか。パワハラかどうかの判断はケースバイケースなので一概には言えませんが,相手の人格を否定するような叱り方はパワハラと認定されることが多いでしょう。「バカかお前は。」「この給料泥棒!」など,相手の人格を否定するような発言があればどんなに内心で「部下の成長のために心を鬼にして」と思っていたとしてもパワハラと判断されてしまうでしょう。部下を叱る際には,感情的にならず,冷静に言葉を選びながら諭す態度が必要といえるでしょう。当事務所では,熊本市内だけでなく,八代,人吉,菊池,阿蘇,天草各方面にお住まいの方のご相談にも対応しています。相談受付ダイヤル(096(288)6686)にお気軽にお電話ください。

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