2017.03.01更新

 製造物責任法は,被害者保護の観点から,製造物の客観的な欠陥の立証を前提に,製造業者に無過失責任を負わせたものです。製造物のなかには,自動車も含まれます。製造物責任における欠陥とは,当該製造物の特性,その通常予見される使用形態,その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の製造物に係る事情を考慮して,当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます(製造物責任法2条2項)。

 

 

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投稿者: 今村法律事務所

2017.02.28更新

自動車を運転中,いつものとおりブレーキを踏んでもブレーキが利かず,ヒヤリとしたことはありませんか?ブレーキの不具合などが原因で交通事故が発生した場合,どのような責任問題になるのでしょうか?製造物責任法は,「製造業者等は,その製造,加工,輸入・・・をした製造物であって,その引き渡した物の欠陥により他人の生命,身体又は財産を侵害したは,これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。」と規定します(製造物責任法3条)。

 

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2015.11.10更新

交通事故と労災保険 交通事故の当事者に代わって損害を填補するのが各種保険ですが、労働者の通勤中または業務中に交通事故が発生した場合は、労働者災害補償保険(労災保険)が適用されます。労働者災害補償保険法1条は「労働者災害補償保険は、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、傷害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護を図るため、必要な保険給付を行うこと」としています。業務中や通勤途中の交通事故においては労災保険が適用される可能性があるということです。では、労災保険は通勤途中の事故には全て使えるのでしょうか?「通勤災害」とは、労働者の通勤時における負傷、疾病、障害または死亡のことをいいます(労災法7条1項2号)。なお、「通勤」とは、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする」(労災法7条2項)とされています。なお、移動の経路を逸脱したり、中断した場合には、その逸脱又は中断の間及びその後の移動は通勤には該当しません。このようなことから、労災保険の適用を受ける通勤災害と認められるには、①通勤が終業に関するものであること②住居と就業の場所との間の往復であること③その通勤が合理的経路・方法であること④往復の経路を逸脱・中断していないこと、4つすべてが必要となります。

 

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2015.11.09更新

自動車事故が発生すると、被害者にはさまざまな損害(人身損害、物的損害)が発生します。その損害のすべてを加害者負担とすると、その負担は多大なものになります。また、加害者に資力がなければ被害者自身が治療費や修理代を支払わなければなりません。そのため、交通事故の当事者に代わって損害を填補してくれるのが各種保険です。自賠責保険や任意保険のほか、たとえば、交通事故の被害者はその治療について健康保険を利用することもできます。健康保険とは、被保険者の業務外の事由による負傷・疾病・死亡・出産と、被扶養者の負傷・疾病・死亡・出産に関して保険給付を行い、被保険者の生活の安定に寄与することを目的とする社会保険です。交通事故との関係では、事故による疾病の治療を行う際に健康保険を使うこともできます。では、交通事故で入院した場合には、治療費について健康保険を使ったほうがよいのでしょうか?自動車事故による負傷については、通常はまず自賠責保険を使い切った後で健康保険等(交通事故が業務によるものならば労災保険)を使うことが一般的なようです。しかし、初めから健康保険や労災保険を使うこともできます。なお、医者は120万円までは自由診療費を請求できるので、自賠責保険を使う(使いたがる)傾向にあります。ところで、自由診療による治療費は健康保険等を利用した場合よりも相当高額になります。そこで、加害者側の支払能力が十分でない場合や、加害者が任意保険に未加入の場合には健康保険等を利用した方がよいでしょう。そして、自賠責保険からは休業補償をもらうようにします。なぜなら自賠責保険の傷害の保険金限度額(120万円)には、治療費のほかに休業補償も含まれているからです。例えば、自賠責を使っての治療費(自由診療分)が20万円だった場合、残り100万円を休業補償にあてることができるという考えです。なお、健康保険等と自賠責保険や任意保険のどちらにも請求できる場合でも、同一の損害につき二重の給付を受けることはできません。これらは、いずれも事故によって発生した損害を填補することを目的としているからです。

 

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2015.09.10更新

東京・歌舞伎町のホストクラブで働いていた20代の男性が、未払い賃金の支払いなどを店に求めた訴訟で、東京地裁は、店と男性に労働契約があったと認め、約176万円の支払いを命じる判決を言い渡したそうです。男性は平成24年12月から歌舞伎町のホストクラブに勤務していたところ、男性が客へのつけを回収できないとして25年1月分から給与が支払われなくなり、同5月に勤務態度を理由に一方的に解雇されたといいます。店側は「ホストは完全歩合制の個人事業主なので、労働契約はない」と主張しましたが、裁判所は「仕事の全般にわたり、店から指揮監督を受けていた」としました。裁判所がホストを個人事業者ではなく労働者とすることは珍しいそうです。ところで、たとえば、ホストやホステスなどの接客業の仕事に従事していたとき、不幸にも交通事故の被害者になったとします。症状固定時に頭部外傷後の高次脳機能障害(7級4号・労働能力喪失率56パーセント)が残存したような場合、後遺障害逸失利益の算定はどういう考え方によるのでしょうか?これについては、症状固定後の稼働状況などの事実関係が重要になってくるようです。すなわち、症状固定後に接客業に復職した後,交通事故前と同じように接客したり飲酒したりすることはできる場合、接客業に従事する者としての労働能力については、事故前と比較して必ずしも大きく労働能力を喪失したということはできないと認定されることになります。たとえば、30歳で交通事故に遭い、32歳の時に症状固定時に頭部外傷後の高次脳機能障害(7級4号・労働能力喪失率56パーセント)が残存したような場合でも、ある年齢(35歳)をもって接客業を辞めた場合,接客業としての労働能力は14パーセント(12級相当)喪失したとされる一方,35歳で辞職した後から67歳までは労働能力を56パーセント(7級相当)喪失したと判断されることがあるのです。

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2015.08.25更新

法定利率は、利率についての約定がない場合に適用される利率です。金銭債務の不履行による損害賠償(民法419条1項)、契約解除時の金銭の返還(民法545条2項)等、適用場面が多い規定です。この改正案が実現することにより、これまでと利息の授受金額に差が生じるという直接的な影響があります。それだけでなく、損害賠償金額や損害保険料の上昇をもたらすのではないかとの予測もあります。それは以下のような理屈です。すなわち、交通事故により被害者が死亡した場合に被害者遺族が加害者の保険会社などに損害賠償を請求するとします。被害者遺族は、被害者が将来得られたであろう利益(逸失利益)から不要となった生活費を控除した上で、将来にわたって被害者が受領すべき損害賠償金額を先んじて全額受領することになります(賠償金額=逸失利益-将来の生活費)。その際、被害者遺族は、将来発生すべき法定利率を差し引き現在価値に計算し直した金額を受領することになります。とすると、法定利率が下がる場合、差引金額も下がることになるため、被害者の受領する金額が結果的に上昇することになります。そして、被害者に支払う賠償金額が上昇するという影響を受けて、損害保険の保険料が上昇するのではないかということも考えられるのです。

 

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2015.08.17更新

テレマティクス保険では、車両に通信システムを設置して位置情報や速度ハンドルやブレーキ操作などの情報を収集します。そのため、テレマティクス保険のデメリットとしては、個人情報ともいえるドライバーの走行データが保険会社に丸わかりになってしまうことが挙げられます。また、テレマティクス保険が普及すると、事故リスクが低いドライバーは、保険料が安くなるテレマティクス保険に加入し、事故リスクの高いドライバーは既存の自動車保険に加入せざるをえないという二極化することが予想されます。とすると、既存の自動車保険は、現在よりも高い保険料に設定されてしまう可能性があり、その結果として現在の若者の自動車離れが問題になっていますが、自動車離れでなく自動車保険離れが起きるのではないかと懸念されています。とはいえ、テレマティクス保険が普及すれば、社会から交通事故そのものが減る可能性も高くなります。誰にとってもメリットとなりますね。日本での導入が今後どのように進んでいくのか、注目したいところです。

 

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2015.08.17更新

テレマティクス保険のメリットは、なんと言っても、安全運転等をすれば保険料を安く抑えられることでしょう。走行距離が短くなったり、アクセルやブレーキの操作が穏やかで安全運転をしている場合、交通事故のリスクは減少し保険会社が支払う保険金の額も少なく済む可能性が高いため、保険会社も保険料を安く設定できるのです。つまり、保険会社もドライバーもウィン-ウィンの関係を築くことができるということです。また、運転者が安全運転することで結果的に交通事故は減るというメリットもあるでしょう。テレマティクス保険の先進国である英国の保険会社では、17~21歳の加入者の事故率が、なんと75%も低下したという事例が報告されています。また、情報が蓄積されることで、中古車として市場に出る場合に、車の経歴や素性が第三者でも明確に把握できることにつながり、自動車取得時の手続きが簡略化されるといったメリットも考えられます。

 

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2015.08.13更新

テレマティクス保険が新たな任意保険として注目を集めています。テレマティクスとは、自動車などの移動体に通信システムを組み合わせてリアルタイムに情報サービスを提供することで、テレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報工学)を合わせて名づけられています。国土交通省HPによると、このテレマティクスを利用する保険がテレマティクス保険で、リアルタイムに提供する運転情報をもとに保険料を算出する保険です。PAYD(PayAsYouDrive走行距離連動型)と、PHYD(PayHowYouDrive運転行動連動型)の2種類があります。走行距離や運転特性(急アクセル・急ブレーキなどのアクセル・ブレーキの踏み方、ハンドリングなど)といった運転者ごとの運転情報を取得・分析し、その情報をもとに保険料を算出する仕組みです。運転情報は、車に設置するブラックボックスやドライブレコーダーなどの通信機器などを用いて収集します。国土交通省は「リスクに応じた詳細な保険料設定により、安全運転の促進の効果及び事故の減少効果がある」とし、2014年から重点テーマのひとつとして掲げています。すでに欧米では①認知度の向上②保険料の減額効果③保険料算定における公平感の高まりなどの理由によりテレマティクス保険の導入が進んでいて、2020年には契約件数の約3割を占めると予測されています。

 

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2015.07.15更新

自動車の盗難被害に遭い、その犯人が盗難車で交通事故を起こした場合、車両の所有者は、交通事故の被害者に対して損害賠償責任を負うことがあるのでしょうか?自賠法3条の責任を問うための要件である「運行供用者」について、客観的・外形的に見て自動車の運行に対し支配して運行を支配・制御すべき責務があると評価される場合には,運行支配あるとされます。また、運行利益についても,諸般の事実関係を総合して客観的・外形的に観察して,法律上又は事実上,何らかの形でその者のために運行がなされていると評価される場合には,その運行利益が認められると判断されます。このように、盗難車の所有者の運行支配ないし運行利益は,仮に,泥棒運転のように運転者が主観的に返還意思を有していなかったとしても,そのことから直ちに運行支配ないし運行利益が否定されるものではないのです。このように、いわゆる泥棒運転の場合においても,窃取されたということから直ちに所有者の運行供用者責任が否定されることになるものではないので注意が必要です。つまり、盗難の場合においてさえ,車両所有者の管理形態や管理状況が問われることとなります。まさに車両所有者にとってみれば、踏んだり蹴ったりの結果さえありえるのです。

 

 

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