2017.01.30更新

未成年者であっても,アルバイトあるいは就職して,賃金を受け取る場合があります。労働基準法では,「未成年者は,独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は,未成年者の賃金を代つて受け取ってはならない。」(労働基準法59条)と定められています。したがって,アルバイト代や賃金は,未成年者本人が受け取り管理することが必要です。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2016.02.01更新

過重労働(過労)に起因してうつ病等の精神疾患を発症した場合、労災補償の対象になるのでしょうか?そもそも、どのような事業が労働者災害補償保険法の適用対象となる事業となるのでしょうか?労働者災害補償保険法の適用対象となる事業とは、原則として、労働者を一人でも使用する事業所は当然に適用対象の事業となります(全事業強制適用)。強制適用されるので、労災保険は、その事業が開始された日に自動的に成立するのであり、使用者が保険関係の成立届出を行っていなかったり、保険料を支払っていない場合でも給付請求をすることができます。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.12.11更新

平成27年9月11日、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部を改正する法律が成立しました。この改正法で労働者派遣事業はどうかわるのでしょうか?改正法は、専門26業務の区分を撤廃し、派遣労働者を無期雇用であるか有期雇用であるかによって区分した上で、①無期雇用の派遣労働者については、派遣期間の制限を撤廃し、②有期雇用の派遣労働者については、派遣労働者単位で派遣期間の上限を3年と定めながら、派遣先・派遣元事業者に派遣労働者を別のものに入れ替えさえすれば派遣労働を永続することを可能とするものです。このような労働者派遣法の改正により、労働者の雇用と生活を不安定にする危険が高まっています。まず、「無期雇用の派遣労働者」というのは派遣元との雇用契約が無期の契約のことです。「無期雇用の派遣労働者」というと短期間の更新を繰り返す有期雇用と比べて雇用が安定していると考えるかもしれません。しかし、そもそも、派遣という働き方は、派遣元と派遣先の労働者派遣契約がなくなれば派遣先での仕事はなくなるというのが裁判所のスタンスです。つまり、無期契約の派遣労働者でも、派遣元と派遣先の契約がなくなれば、それまでの賃金と雇用を確保することはできないのです。リーマンショックなどでひとたび景気が悪化すれば、派遣先は派遣元との契約を即座に解除し、派遣労働者は切り捨てられてきました。そして、無期契約の派遣労働者も例外ではありませんでした。
改正法における無期雇用の派遣労働者については、直接雇用労働者との具体的な均等確保策がない中で派遣期間の制限を撤廃すれば、直接雇用労働者がより低い待遇の派遣労働者に置き換えられることになります。その結果、派遣労働者が臨時的、一時的ではなくなり、派遣労働者の常用代替が促進されます。また、有期雇用の派遣労働者についても、3年ごとに派遣労働者を別の者に入れ替えれば派遣労働者を使い続けることができるようになり、派遣労働が固定化され、派遣労働の常用が促進されます。このように、これまでは、「派遣は臨時的・一時的な働き方である」という原則が維持されてきたのですが、改正法により、派遣期間は実質的には撤廃されることになり、派遣という働き方が一般的な就労形態になって、派遣労働者のみならず労働者全体の雇用と生活が不安定になる可能性が高まったのです。

 

 

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2015.09.24更新

派遣労働ってパートやアルバイトと比べると時給が高いのですが、パートやアルバイトとはどう違うのでしょうか?一般的な労働契約(正社員、アルバイト、パート)は、企業(使用者)と労働者が直接労働契約を締結して、使用者の職場で使用者の指揮命令を受けて労働します。このように、労働契約は直接契約が基本であり、本来、何人も労働者を供給する事業を行い、又はその労働者を供給する事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはなりません(職業安定法44条)。これは、職業仲介者による不当な中間搾取を招かないためです。ところで、派遣労働は労働者を供給する事業等を禁止した職業安定法の例外です。派遣労働では派遣元とよばれる派遣会社と労働契約を締結します。しかし、一般的な労働契約と異なり、働く場所は派遣会社ではなく、派遣会社が労働者を派遣する契約を結んだ会社(派遣先)になります。そして、労働者は、派遣先で派遣先の指揮命令を受けて働き、賃金は派遣会社から支払われます。派遣労働は、以前は、通訳やアナウンサー、秘書など専門性の高い業務だけに認められていました。つまり、高度専門的な技能を有する労働者を必要な時期に雇用したいと考える企業(使用者)がある一方で、一般の雇用制度にとらわれず自己の能力、都合に合わせて働きたいと考える労働者が存在したため、両者ニーズがマッチし、人材派遣業という両者を仲介する業務が成立したのです。しかし、現在では港湾や建設業務など一部を除き、ほぼ全ての業務に派遣が認められるようになりました。なお、派遣元の会社はいろいろあり、登録する派遣会社の選び方に注意が必要です。企業研究をして就職先を選ぶように派遣会社にもそれぞれ特徴がありますので、公開されている企業データや口コミ情報を参考にして派遣会社を選択しましょう。データには①その会社の派遣労働者数②派遣料金の平均額③派遣労働者の賃金平均額④マージン率などがあります。また、口コミ情報には、①自分が希望する職種(事務、販売、アパレルなどに強い)に強いとか②大手企業に派遣先が多いとか③サポート体制がしっかりしている④未経験者歓迎など,さまざまな情報があります。このようなさまざまな情報を研究しても自分に合った派遣会社を選択する必要があります。

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2015.08.11更新

一定の要件を満たす労働者に対し使用者側の残業代支払義務を免除する「高度プロフェッショナル制度」の創設などが盛り込まれた「労働基準法の一部を改正する法律案」が国会に提出され審議されています。この制度の下敷きとなったのは、アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション制度です。 アメリカでは、ホワイトカラー・エグゼンプション対象者が当初の予定より低収入の労働者にまで大幅に拡大し、長時間・過密労働の弊害が生じてるといい、これを受けてオバマ政権が労働時間規制について抜本的な改正を労働長官に指示しているといいます。また、アメリカでは、いわゆる「名ばかり管理職」が問題となり、年間7000件にも上る残業代請求訴訟が提起されているといいます。このように、アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション制度は、長時間労働や過労問題、低賃金問題を引き起こしているのであり、こうしたホワイトカラー・エグゼンプション制度を下敷きにしている日本の「高度プロフェッショナル制度」を盛り込む労働基準法の改正についても同様の弊害が生じるのではないかとの懸念が払拭できません。

 

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2015.06.03更新

フリーのライターや宅配便等,会社とは労働契約を結ばずに個人事業主として働いているケースがあります。このような場合,同業者で労働組合を作り,会社と交渉することはできないのでしょうか?この点,住宅設備機器の修理補修等を行う会社と業務委託契約を締結して修理補修を行っていた者が,当該会社との関係で「労働組合法上の労働者」と認定された事例があります(INAXメンテナンス事件/最判平成23.4.12判時2117-139)。
 この事例は,以下のような事例です。会社は主として約590名いるカスタマーエンジニア(CE)をライセンス制度やランキング制度の下で管理し,全国の担当地域に配置を割り振り日常的な修理補修等の業務に対応させていました。そして,各CEの業務日及び休日を指定し,日・祝日についても各CEが交替で業務を担当するよう要請していました。CEの業務委託内容は,会社の定めた覚書で規律され,個別の修理補修の依頼内容をCEの側で変更する余地はありませんでした。CEの報酬は,会社が予め決定した顧客等に対する請求金額に,当該CEにつき会社が決定した級ごとに定められた一定率を乗じ,これに時間外手当等に相当する金額を加算する方法で支払われていました。会社から依頼を受けたCEは業務を直ちに遂行するものとされ,原則的な依頼方法である修理依頼データの送信を受けた場合にCEが承諾拒否通知を行う割合は1%弱でした。その他,業務委託契約の存続期間は1年間で会社から異議があれば更新されないとされていたこと,各CEの報酬額は当該CEにつき会社が毎年決定する級によって差が生じ,その担当地域も会社が決定してました。また,CEは,会社指定の担当地域内において,会社の依頼する顧客先で修理補修の業務を行い,原則として業務日の午前8時半から午後7時までは会社から発注連絡を受けることになっていた上,顧客先に赴いて上記の業務を行う際,会社による作業であることを示すため,会社の制服を着用して会社の名刺を携行していました。そして,業務終了時には会社が指定する書式の報告書を会社に送付するものとされていたほか,会社のブランドイメージを損ねないように作業手順や会社への報告方法CEの心構えから接客態度等までが記載されたマニュアルの配布を受け,これに基づく業務の遂行が求められていました。
 このような事例について,判例は,①労務提供者が会社の事業の遂行に不可欠な労働力として,その恒常的な確保のために会社組織に組み入れられていたかどうか②会社が労務提供者との契約内容を一方的に決定していたかどうか③報酬が労務の対価としての性質を有するかどうか,④当事者の認識や契約の運用において,会社の個別の修理補修の依頼に応ずべき関係にあったどうか⑤労務提供者が会社の指定する業務遂行方法に従い,指揮監督の下に労務の提供を行い,かつ,業務について場所的・時間的に一定の拘束を受けているかどうか等の事情(働き方の実態)を重視して,個人事業主であっても「労働組合法上の労働者」と認定したのです。

 

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2015.06.02更新

労働協約の効力は,労働組合に入っていない従業員には適用されないのが原則ですが,4分の3以上の従業員を組織する労働組合が締結した労働協約は,非組合員にも適用されます(労働組合法17条)。

労働協約が非組合員に適用されるかどうかにつき有名な事例があります。ある会社は,会社合併後労働条件が統一されておらず,これが長年の懸案となっていました。定年も63歳と57歳があり,また,退職金規定も二本立てでした。その後,経営悪化を理由に定年を57歳に統一し,退職金の乗率も引き下げる労働協約が締結されたのですが,非組合員がこの労働協約は自分にとって不利益であり適用されないはずだとして争ったのです。以下,労働協約の効力についての理由部分を引用します(朝日火災海上事件‐最判平成8・3・26民集50-4-1008)。(以下引用)‐ 労働協約には、労働組合法一七条により、一の工場事業場の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用されている他の同種労働者に対しても右労働協約の規範的効力が及ぶ旨の一般的拘束力が認められている。ところで、同条の適用に当たっては、右労働協約上の基準が一部の点において未組織の同種労働者の労働条件よりも不利益とみられる場合であっても、そのことだけで右の不利益部分についてはその効力を未組織の同種労働者に対して及ぼし得ないものと解するのは相当でない。けだし、同条は、その文言上、同条に基づき労働協約の規範的効力が同種労働者にも及ぶ範囲について何らの限定もしていない上、労働協約の締結に当たっては、その時々の社会的経済的条件を考慮して、総合的に労働条件を定めていくのが通常であるから、その一部をとらえて有利、不利をいうことは適当でないからである。また、右規定の趣旨は、主として一の事業場の四分の三以上の同種労働者に適用される労働協約上の労働条件によって当該事業場の労働条件を統一し、労働組合の団結権の維持強化と当該事業場における公正妥当な労働条件の実現を図ることにあると解されるから、その趣旨からしても、未組織の同種労働者の労働条件が一部有利なものであることの故に、労働協約の規範的効力がこれに及ばないとするのは相当でない。
 しかしながら他面、未組織労働者は、労働組合の意思決定に関与する立場になく、また逆に、労働組合は、未組織労働者の労働条件を改善し、その他の利益を擁護するために活動する立場にないことからすると、労働協約によって特定の未組織労働者にもたらされる不利益の程度・内容・労働協約が締結されるに至った経緯、当該労働者が労働組合の組合員資格を認められているかどうか等に照らし、当該労働協約を特定の未組織労働者に適用することが著しく不合理であると認められる特段の事情があるときは、労働協約の規範的効力を当該労働者に及ぼすことはできないと解するのが相当である。‐(ここまで引用)
 このように,判例は,労働協約についての一般的効力を定める労働組合法17条は,その有利不利を問わず非組合員にも労働協約を及ぼす趣旨であるとしたうえで,労働協約を適用することが著しく不合理であるときには当該労働協約を非組合員に及ぼすことはできないとしたのでした。そして,事案の解決としては,非組合員である労働者について57歳が定年とされて退職金も減額されるのは著しく不合理であるとして労働者側の訴えを認めたのです。

 

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2015.06.02更新

労働組合と使用者で労働条件やその他の事項に関して協定が結ばれることがあります。この協定について書面が作成され,労使双方当事者がこれに署名しまたは記名押印すればこの協定は「労働協約」とよばれる地位を獲得し,規範的効力を有するようになります(労働組合法14条)。「労働協約」は,規範としては就業規則にも優越する地位にあり,就業規則は労働協約に反することができません(労働基準法92条)。また,労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は無効になります(労働組合法16条)。
労働協約の効力は,労働組合に入っていない従業員には適用されないのが原則ですが,4分の3以上の従業員を組織する労働組合が締結した労働協約は,非組合員にも適用される(労働組合法17条)ので注意が必要です。

 

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2015.06.01更新

労働組合に入れば組合費を納めなくてはならないし,労働組合で一定の役職に就けば会議に参加することが必要になります。労働組合には加入しなければならないのでしょうか。労働組合は労働者が自主的に結成し運営されるものであり,労働組合に加入するかどうか,一旦加入した労働組合を脱退するかどうかは,個々の労働者が自由に決めることができるのが原則です。しかし,労働組合と企業が「ユニオンショップ協定」を結んでいるときは別です。「ユニオンショップ協定」とは,労働者は,労働組合という組織に加入することが強制され,使用者は,自己の雇用する労働者のうち労働組合に加入しない者及び労働組合員ではなくなった者を解雇する義務を負う制度(労働協約)です。労働組合は,使用者との団体交渉による有利な労働条件を獲得することを主な目的としており,組織をできるだけ拡大して交渉力を高める必要があるため,このような労働組合と企業の労働協約が普及したのです。日本では,特に従業員数が多くなるにしたがい,ユニオンショップ協定を有している企業の割合が多くなる傾向にあるようです。仮に,勤める企業・労働組合にユニオンショップ協定がないとしても,多くの労働者の加入で交渉力をもつという労働組合の存在意義を踏まえて加入しないかどうかを判断すべきでしょう。

 

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2015.06.01更新

厚生労働省の調査(平成25年6月30日時点)によれば,単一労働組合数は,2万5532組合,労働組合数は987万5千人で,前年に比べて労働組合数は243組合の減(0.9%減),労働組合員数は1万7千人の減(0.2%減)となっており,推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は,17.7%となっているのだそうです。
このように,我が国では,労働組合数,組合員数,推定組織率全ての数値で減少の一途をたどっているのですが,そもそも労働組合とはどういう組織でしょうか。法律上,労働組合とは,「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又は連合団体」とされています(労働組合法2条)。労働者と企業の間には,情報力,交渉力,経済力その他の力すべてで圧倒的な力の差があります。そのため,一人ひとりの労働者が企業と対等に交渉することは不可能です。そこで,日本国憲法は,勤労者の団結権及び団体交渉,団体行動権を保障して(憲法28条),労働者が労働組合をとおして労働条件の維持向上を図れるようにしたのです。このように,賃金等の労働条件の向上などに対して労働組合が果たすべき役割は大きいのですが,労働組合組織率が低下しているため,いままであれば労働組合に相談していたようなことが相談できなくなっているという実情があるのです。

 

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