2015.08.28更新

企業が不特定多数の者に対して画一的な条項を契約内容として示すのが約款です。改正民法案では、約款について「不特定多数の人を対象に画一的に行う取引の内容を示した文書全体」と定義されています。約款は、各種保険や携帯電話、電気・水道・ガスなどの公共サービスなどで幅広く利用されています。が、消費者側が約款を読まずに契約して、企業側とトラブルになることもあります。実は今までの民法には約款についてのルールがありませんでした。改正法案ではその根拠を明確にした上で「消費者の利益を一方的に害する不当な条項は無効」としました。インターネットショッピングなどで、長文の約款を読まずに「同意する」ボタンをクリックした後でも、この民法上の約款の規定によりトラブル解決ができそうです。なお、消費者保護を重視して約款を無効とする場面を広く認めるべきだという見解と、経済上の円滑性を重視して約款を無効とする場面を狭くすべきだとする見解が対立しており、約款については、今後の議論の推移を見守ってゆく必要があるでしょう。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.08.27更新

現行民法は、「連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。」とする規定(民法434条)を準用しています(民法458条)。そのため債権者が連帯保証人に対して請求をした場合、その効果が主債務者にも及ぶとされています。具体的には債権者が主債務者に請求を行わず、連帯保証人に対してのみ請求を行った場合、主債務者が知らない間に主債務者の消滅時効が中断したり、主債務者が履行遅滞に陥るといった効果が生じることになります。ところで、民法改正案では、現行民法434条に該当する規定を削除しています。とすると、民法改正後は、連帯保証人に対する請求の効果は主債務者に及ばないことになります(連帯保証人に対する請求の相対効)。この改正により、連帯保証人にさえ請求をしておけば主たる債務者には請求をしなくても時効の中断等が実現できるというわけにはいかなくなります。債権者としては、主債務者と連帯保証人に対する債権管理を別々に分けて考えてゆく必要性が現在より高まります。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.08.25更新

法定利率は、利率についての約定がない場合に適用される利率です。金銭債務の不履行による損害賠償(民法419条1項)、契約解除時の金銭の返還(民法545条2項)等、適用場面が多い規定です。この改正案が実現することにより、これまでと利息の授受金額に差が生じるという直接的な影響があります。それだけでなく、損害賠償金額や損害保険料の上昇をもたらすのではないかとの予測もあります。それは以下のような理屈です。すなわち、交通事故により被害者が死亡した場合に被害者遺族が加害者の保険会社などに損害賠償を請求するとします。被害者遺族は、被害者が将来得られたであろう利益(逸失利益)から不要となった生活費を控除した上で、将来にわたって被害者が受領すべき損害賠償金額を先んじて全額受領することになります(賠償金額=逸失利益-将来の生活費)。その際、被害者遺族は、将来発生すべき法定利率を差し引き現在価値に計算し直した金額を受領することになります。とすると、法定利率が下がる場合、差引金額も下がることになるため、被害者の受領する金額が結果的に上昇することになります。そして、被害者に支払う賠償金額が上昇するという影響を受けて、損害保険の保険料が上昇するのではないかということも考えられるのです。

 

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2015.08.24更新

改正民法では、法定利率が変わります。法定利率とは、金銭消費貸借契約で金利を定めない場合や支払いが遅れた場合に支払う遅延損害金などに適用される金利のことであり、民法では年5分(5パーセント)の固定とされています(民法404条)。しかし、低金利が続く市場の実態に合わせて損害賠償の算定に利用される法定利率も変更することなりました。ところで、改正案では、法定利率を年3分とし、さらに、その利率も3年に一度変動するとされています。そして、商法では、商事法定利率6分が定められていますが、この商事法定利率については削除される方向での検討がなされています。

 

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2015.08.18更新

現在の民法では、債権の消滅時効を原則として10年としています(民法167条)。そして、飲食代金や宿泊代金については1年(現民法174条)、弁護士費用は2年(現民法173条)、工事に関連する費用は3年(現民法170条)とするなど、個別の債権については短期消滅時効を定めています。これらの規定については、将来民法が改正されます。時効は、①債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年②権利を行使することができる時から10年の時効期間と定められることになります。このような改正により短期消滅時効は廃止されることになります。社会経済状況の変化に鑑み、消滅時効の期間の統一化等時効に関する規定の整備が必要なため、このような時効の規定の整備が行われます。では、時効の統一化は私たちの生活にどのような変化をもたらすでしょうか?まず、契約当事者は、通常、契約の時点で権利を行使することができることを知るので、契約に基づく債権の消滅時効は現在の10年から5年に実質的には短縮されることになります。時効期間が実質的に短くなるため、債権者は現在よりもより厳しく債権管理を行わなければなりません。一方、従来短期消滅時効とされていた債権については、時効期間が延長されることになるので、債権者は諦めずに証拠となる請求書等の書類を長く保管しておくことが肝要です。

 

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2015.08.17更新

テレマティクス保険では、車両に通信システムを設置して位置情報や速度ハンドルやブレーキ操作などの情報を収集します。そのため、テレマティクス保険のデメリットとしては、個人情報ともいえるドライバーの走行データが保険会社に丸わかりになってしまうことが挙げられます。また、テレマティクス保険が普及すると、事故リスクが低いドライバーは、保険料が安くなるテレマティクス保険に加入し、事故リスクの高いドライバーは既存の自動車保険に加入せざるをえないという二極化することが予想されます。とすると、既存の自動車保険は、現在よりも高い保険料に設定されてしまう可能性があり、その結果として現在の若者の自動車離れが問題になっていますが、自動車離れでなく自動車保険離れが起きるのではないかと懸念されています。とはいえ、テレマティクス保険が普及すれば、社会から交通事故そのものが減る可能性も高くなります。誰にとってもメリットとなりますね。日本での導入が今後どのように進んでいくのか、注目したいところです。

 

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2015.08.17更新

テレマティクス保険のメリットは、なんと言っても、安全運転等をすれば保険料を安く抑えられることでしょう。走行距離が短くなったり、アクセルやブレーキの操作が穏やかで安全運転をしている場合、交通事故のリスクは減少し保険会社が支払う保険金の額も少なく済む可能性が高いため、保険会社も保険料を安く設定できるのです。つまり、保険会社もドライバーもウィン-ウィンの関係を築くことができるということです。また、運転者が安全運転することで結果的に交通事故は減るというメリットもあるでしょう。テレマティクス保険の先進国である英国の保険会社では、17~21歳の加入者の事故率が、なんと75%も低下したという事例が報告されています。また、情報が蓄積されることで、中古車として市場に出る場合に、車の経歴や素性が第三者でも明確に把握できることにつながり、自動車取得時の手続きが簡略化されるといったメリットも考えられます。

 

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2015.08.13更新

テレマティクス保険が新たな任意保険として注目を集めています。テレマティクスとは、自動車などの移動体に通信システムを組み合わせてリアルタイムに情報サービスを提供することで、テレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報工学)を合わせて名づけられています。国土交通省HPによると、このテレマティクスを利用する保険がテレマティクス保険で、リアルタイムに提供する運転情報をもとに保険料を算出する保険です。PAYD(PayAsYouDrive走行距離連動型)と、PHYD(PayHowYouDrive運転行動連動型)の2種類があります。走行距離や運転特性(急アクセル・急ブレーキなどのアクセル・ブレーキの踏み方、ハンドリングなど)といった運転者ごとの運転情報を取得・分析し、その情報をもとに保険料を算出する仕組みです。運転情報は、車に設置するブラックボックスやドライブレコーダーなどの通信機器などを用いて収集します。国土交通省は「リスクに応じた詳細な保険料設定により、安全運転の促進の効果及び事故の減少効果がある」とし、2014年から重点テーマのひとつとして掲げています。すでに欧米では①認知度の向上②保険料の減額効果③保険料算定における公平感の高まりなどの理由によりテレマティクス保険の導入が進んでいて、2020年には契約件数の約3割を占めると予測されています。

 

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2015.08.11更新

一定の要件を満たす労働者に対し使用者側の残業代支払義務を免除する「高度プロフェッショナル制度」の創設などが盛り込まれた「労働基準法の一部を改正する法律案」が国会に提出され審議されています。この制度の下敷きとなったのは、アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション制度です。 アメリカでは、ホワイトカラー・エグゼンプション対象者が当初の予定より低収入の労働者にまで大幅に拡大し、長時間・過密労働の弊害が生じてるといい、これを受けてオバマ政権が労働時間規制について抜本的な改正を労働長官に指示しているといいます。また、アメリカでは、いわゆる「名ばかり管理職」が問題となり、年間7000件にも上る残業代請求訴訟が提起されているといいます。このように、アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション制度は、長時間労働や過労問題、低賃金問題を引き起こしているのであり、こうしたホワイトカラー・エグゼンプション制度を下敷きにしている日本の「高度プロフェッショナル制度」を盛り込む労働基準法の改正についても同様の弊害が生じるのではないかとの懸念が払拭できません。

 

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2015.08.10更新

離婚後、親権者ではない父が子と面会交流を求める調停を申し立てたところ、親権者である母との間で、月1回の面会交流に応じるとの合意ができたとします。このような合意を調停条項として残す場合、どのようなことに留意すればよいでしょうか?面会交流でそれほど揉めていない場合などは、せいぜい回数くらいを決めれば足りるでしょう。しかし、将来義務者が合意に違反して面会交流に応じないことが予想される場合などは、将来の紛争をできるだけ防ぐという観点からは、面会の日時、場所、方法等をできるだけ具体的に決めておく必要があります。では、将来、面会交流に応じない場合はどうすればよいでしょうか?家事事件手続法では、義務者が面会交流を拒否した場合、履行勧告の制度が用意されています(家事事件手続法289条)。これは、家庭裁判所調査官等により義務者に直接働きかけてもらい、調停や審判で決められた内容の履行を促すものです。しかし、この履行勧告の制度には強制力はありません。(なお、履行命令(家事事件手続法290条)という制度もありますが、これは財産給付に関する条項については利用できますが、面会交流については履行命令を発することはできないと解されています。)では、強制力のある方法はとりえないでしょうか?面会交流を直接させる方法での強制執行ができないかが問題となりますが、面会交流の実施には相手方の行為が必要であるため、直接強制はできず、間接強制によるべきであると考えられています。面会交流の間接強制とは、執行裁判所が、義務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命じる方法です。もっとも、面会交流の具体的な内容が決まっていないときには間接強制は認められませんので、間接強制が認められるためにも、面会の日時、場所、方法等を予め具体的に決めておく必要があるのです。

 

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