2015.05.29更新

顧客自身からその顧客の個人情報に関する開示を求められ場合,どうすればよいでしょうか? 取扱事業者は,個人情報保護法に基づく開示義務があるので当然に開示する必要があります。すなわち,個人情報取扱事業者は,本人(個人情報によって識別される特定の個人のこと)から当該本人が識別される保有個人データの開示を求められたときは,本人に対し,政令で定める方法により,遅滞なく,当該保有個人データを開示しなければならないとされています(法25条1項)。もっとも,本人や第三者の権利利益を害するおそれがある場合や業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合等には,その全部又は一部を不開示とすることができます。また,開示された情報を見た本人が当該個人データの内容が事実ではないという理由によってデータの訂正,追加,削除を求めた場合,遅滞なく必要な調査を行い,その結果に基づき,当該個人データの訂正,追加,削除をしてその旨を本人に通知しなければならず,訂正を行わない旨を決定したときには本人にその旨を通知しなければなりません(法26条)。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.05.29更新

顧客から「おたくでは個人情報の管理はどうしているのか。」との質問された場合,どのように回答すればよいのでしょうか?個人情報の保護に関する法律(「個人情報保護法」)は,高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ,個人の人格尊重を基本理念として,個人情報の適正な取扱いに関し,個人情報を取り扱う事業者の義務などを定めています(法1条)。 ここで「個人情報」とは,生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述により特定の個人を識別することができるものをいいます(法2条1項)。そして,個人情報データベース等を事業の用に供している者を「個人情報取扱業者」と定め,個人情報取扱業者は,あらかじめ本人の同意を得ないで,特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて,個人情報を扱ってはならず(利用目的による制限・法16条),また,本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供することを制限しています(第三者提供の制限・法23条)。
特に,医療機関や金融機関は,多数の個人情報を取得することになり,また,そこで取得した個人情報は,医療機関や金融機関としての事業活動を行う上で不可欠というだけでなく,その取り扱い方いかんは企業の信用にもかかわる問題です。そのため,個人情報については,コンプライアンスという観点だけでなく,企業の信用にも深く関わる問題であるという問題意識をもって取り扱う必要があるのです。企業によっては個人情報保護の基本方針(プライバシーポリシー)を定めて内部的な管理体制を構築し,個人情報保護法等で定められている利用目的や利用範囲について広く開示しているところです。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.05.29更新

物上代位による担保権の実行は,担保権の存在を証する書面が提出されたときに限り開始されます(民事執行法193条1項)。立証すべき事実は,①担保権の存在だけでなく,②被担保債権の存在,③弁済期の到来,④債権者から債務者に対して売却された動産が第3債務者に転売された事実です。特に,差押命令においては,債務者及び第3債務者の審尋(事情を聴くこと)はできないので(民事執行法145条),立証のためには書面が重要になります。ただし,一通の文書によらず複数の文書によることも許されます。例えば,売買契約書,発注書,納品書,納品伝票,受領書,請求書,出荷依頼書等を複数提出することが考えられます。ただし,これらによって,債務者に対する担保権の存在が高度の蓋然性をもって証明される文書であることが必要であるとするのが判例の考え方です。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.05.28更新

動産売買先取特権の実行方法としては,売買目的物が債務者(買主)の手元にある場合(転売等をしていない場合),①債権者が執行官に対して当該動産を提出する(190条1項1号)か,または,②債権者が執行官に対して動産の占有者が差押えを承諾する書面を提出する(190条1項2号)ことが必要であり,いずれの場合でも債務者(買主)の協力が必要になります。
他方,売買目的物が転売されて引き渡された場合,先取特権者は,既に引渡されてしまった当該動産について先取特権を行使することはできません(民法333条)。しかし,この場合でもあきらめるのはまだ早く,債務者(買主)がまだ転売代金を回収していない場合は,物上代位という方法によって転売代金債権を差押えて回収するという方法があります。この物上代位は,担保権は目的動産の価値の変形物である転売代金債権の上にも及んでいるという考え方に基づいています。しかし,先取特権者は,債務者が転売代金等の支払いを受ける前に差押えをしなければなりません(民法304条1項但書)。

 

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2015.05.28更新

取引先に対して掛売りで継続的に商品を売却してきたところ,突然取引先店舗が閉鎖され,取引先の代理人弁護士から破産する旨の受任通知が届いたような場合,どうすればよいのでしょうか。特に,商品の一部が取引先の倉庫に残っている時などは商品を押さえることはできないでしょうか。ここで,回収方法として,①動産売買先取特権に基づき在庫商品を競売して回収する②取引先が転売したときの転売代金債権を差押えて回収する方法があります。
まず,先取特権とは,債務者の財産について,他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利です。そして,かかる先取特権は,法律上の要件を満たせば当然に発生する法定の担保物権です(民法303条)。ところで,動産の売買を原因として生じた債権を有する者は,債務者の特定の財産について先取特権を有します(民法311条5号)。動産売買先取特権の実行方法は,民事執行法が定める動産競売という方法により行います(民事執行法190条)。うまく実行できれば,売買目的物を換価し,その換価代金から先取特権者として優先弁済を受けることができるのです。

 

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2015.05.27更新

取引基本契約書において,どのような規定を盛り込めば売掛金の回収を確実にすることができるでしょうか。まず,買主側に経済的余裕がある場合,取引開始にあたり,一定金額を保証金として差し入れてもらい,売掛金の回収ができないような場合は保証金から回収するという条項を盛り込むことは一考の余地があります。このような考え方の延長線上で,売掛金額が一定の限度額を超える場合には,保証金を差し入れない限り取引を継続しないとの規定を入れることも有効かもしれません。
そもそも,買主の破綻による売掛金の回収困難に陥らないための基本的対処法は,支払いサイトの短期化,すなわち,売掛金の支払時期をなるべく早い時期にしておくことです。こうして支払期間を短くしておくことで,売掛金が多額になることを防止することができるのです。
さらに,滞納などの信用悪化を示す事実が発生した場合,現金取引に切り替えるとの条項を入れておくことも有効であると考えられます。
なお,取引基本契約で定めた措置による回収が困難な場合,売掛金の回収を保全する策として,動産売買先取特権を利用したり,債務者の資産に対する仮差押などが考えられます。

 

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2015.05.26更新

中小企業間の継続的な売買契約の場合,「水くさい」などと言ってわざわざ契約書等の書面を交わさず,口頭の約束だけで取引が行われている例がいまだに多いようです。しかし,このような口頭の約束だけでの取引では,トラブルが生じたときに契約の内容が不明確であるためにかえってトラブルが長引き,迅速かつ円満な解決が困難となる原因となるのです。このようなトラブルを回避するためにも継続的な売買契約についての取引基本契約書を作成し,当事者間の契約内容を明確にしておくことが大切です。そして,売掛金についていえば,売掛金の滞納回数や滞納金額などを定めて契約の解消事由としておき,あまりにも売掛金を滞納することがあれば契約を解消するとの規定等を入れることが経営判断として合理的ということもあるでしょう。また,書面で交わしておくことは,契約内容を巡って法的手続きを利用する際に,契約内容を容易に証明するというメリットにもなるのです。

 

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2015.05.26更新

取引先に多額の売掛金があり,取引先からはいつまでたっても支払ってもらえないという相談がよくあります。商品等の売買取引が1回だけ行われるような取引の場合は,商品の引渡しと売買代金の支払いが同時履行とされることが多いため,売買代金の回収で取引先とトラブルが発生することはほとんどありません。しかし,取引先と継続的に商品を売買するときには,商品の引渡毎に代金の支払いを受けるというのではスムーズな取引ができないので,一定期間内の売買代金については,一定の期日に支払いを受けることとするのが通常です。このような売掛金は,買主の支払能力を中心とする信用の上に成り立っていますが,買主から支払いがないなどのトラブルが発生することもあります。

 

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2015.05.25更新

相殺は,金融機関にとっては,効果的な債権回収手段ですが,破産手続や民事再生手続などの法的整理手続との関係では,相殺権の行使に制限がなされています。
まず,破産債権者が破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき,破産債権者は当該債務を受働債権とした相殺はできません(破産法71条1項1号)。たとえば,破産債権者が破産管財人から破産財団に帰属する財産を買い受けた場合の代金支払債務などについて相殺ができないのです。この場合に相殺を認めてしまうと,破産手続開始時に相殺に対する合理的期待をもっていたわけではないのに,破産債権者はこのような債務負担・相殺によって対価的な利益を取得することになるからです。
また,債務者が支払不能になった後,破産債権者と債務者との間で,悪意で破産債権との相殺に供する目的で,破産者の財産処分を目的とする契約等を締結してする相殺は認められません(破産法71条1項2号)。これは,例えば,支払不能にあった債務者(のちの破産者)所有不動産を債権者に対して売却させ,破産債権者がその債権と売買代金債務とを相殺する場合が挙げられます。これを認めると,破産債権者は,既に経済的価値を失っている破産債権を有しているにすぎないのに,相殺によって債権の名目額にみあった価値を有する不動産を取得する結果,他の債権者を害する結果となるためです。
このように,債務者の財産の適正かつ公平な清算を目的とする破産法との関係では,抜け駆け的な相殺に債権回収は許されていないのです。

 

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2015.05.22更新

代理人弁護士から破産の受任通知が送付されてきた場合,受任通知を受け取った者としてはどう対処すべきでしょうか。受け取った際,債務者に対する債権と相殺できる債務がないかの検討が必要です。相殺とは,2当事者間に相対立する債権債務がある場合,対立する債権と債務を対当額で消滅させる行為です。民法上,相殺には,双方の債務が弁済期にあることや債務の性質がこれを許すものであることなど,一定の要件が定められています(これを「相殺適状」といいます。)が,意思表示だけで債権回収できるため,効果的な債権回収手段の一つです。「弁済期が到来していること」に関していえば,例えば,普通預金は預金者がいつでも払い戻しを請求することができるので,常に弁済期にあるということになります。他方,貸金などで分割払いの約定がある場合,取引約定などで支払停止を期限利益喪失約款にしておき,受任通知を受け取った段階で期限の利益を喪失させることにより弁済期が到来し,相殺が可能な状態になります。

 

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