2015.08.10更新

離婚後、親権者ではない父が子と面会交流を求める調停を申し立てたところ、親権者である母との間で、月1回の面会交流に応じるとの合意ができたとします。このような合意を調停条項として残す場合、どのようなことに留意すればよいでしょうか?面会交流でそれほど揉めていない場合などは、せいぜい回数くらいを決めれば足りるでしょう。しかし、将来義務者が合意に違反して面会交流に応じないことが予想される場合などは、将来の紛争をできるだけ防ぐという観点からは、面会の日時、場所、方法等をできるだけ具体的に決めておく必要があります。では、将来、面会交流に応じない場合はどうすればよいでしょうか?家事事件手続法では、義務者が面会交流を拒否した場合、履行勧告の制度が用意されています(家事事件手続法289条)。これは、家庭裁判所調査官等により義務者に直接働きかけてもらい、調停や審判で決められた内容の履行を促すものです。しかし、この履行勧告の制度には強制力はありません。(なお、履行命令(家事事件手続法290条)という制度もありますが、これは財産給付に関する条項については利用できますが、面会交流については履行命令を発することはできないと解されています。)では、強制力のある方法はとりえないでしょうか?面会交流を直接させる方法での強制執行ができないかが問題となりますが、面会交流の実施には相手方の行為が必要であるため、直接強制はできず、間接強制によるべきであると考えられています。面会交流の間接強制とは、執行裁判所が、義務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命じる方法です。もっとも、面会交流の具体的な内容が決まっていないときには間接強制は認められませんので、間接強制が認められるためにも、面会の日時、場所、方法等を予め具体的に決めておく必要があるのです。

 

当事務所では,熊本市内だけでなく,近郊の八代,人吉,菊池,阿蘇,天草各方面にお住まいの方のご相談にも対応しています。相談受付ダイヤル(096(288)6686)にお気軽にお電話ください。

投稿者: 今村法律事務所

今村法律事務所 096-288-6686

初回無料相談 法律に関するQ&A 弁護士コラム