2015.08.25更新

法定利率は、利率についての約定がない場合に適用される利率です。金銭債務の不履行による損害賠償(民法419条1項)、契約解除時の金銭の返還(民法545条2項)等、適用場面が多い規定です。この改正案が実現することにより、これまでと利息の授受金額に差が生じるという直接的な影響があります。それだけでなく、損害賠償金額や損害保険料の上昇をもたらすのではないかとの予測もあります。それは以下のような理屈です。すなわち、交通事故により被害者が死亡した場合に被害者遺族が加害者の保険会社などに損害賠償を請求するとします。被害者遺族は、被害者が将来得られたであろう利益(逸失利益)から不要となった生活費を控除した上で、将来にわたって被害者が受領すべき損害賠償金額を先んじて全額受領することになります(賠償金額=逸失利益-将来の生活費)。その際、被害者遺族は、将来発生すべき法定利率を差し引き現在価値に計算し直した金額を受領することになります。とすると、法定利率が下がる場合、差引金額も下がることになるため、被害者の受領する金額が結果的に上昇することになります。そして、被害者に支払う賠償金額が上昇するという影響を受けて、損害保険の保険料が上昇するのではないかということも考えられるのです。

 

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投稿者: 今村法律事務所

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