2015.12.24更新

年の瀬も迫り、毎日が慌ただしい時期になりました。ところで、「貸金業者への返済が一度滞ったところ、貸金業者が自宅や職場に何度も電話を掛けきたり、訪問したり、玄関に張り紙をしたりするなどの取り立てを行っているので困っています」との相談をこの時期に受けることがあります。しかし、このような取り立ては、平穏な生活を侵害し、また、日常の業務を妨害するものとして違法です。貸金業法は、貸金業を営む者の取り立て行為について規制しています。例えば、債務者の居宅・勤務先等の場所を債権者が訪問した場所で、債務者が退去すべき旨の意思表示をしたのに退去しない場合や、張り紙などで債務者の借り入れの事実等を明らかにすること等の言動をして人の私生活の平穏や業務の平穏を害するような言動をしてはならないとしています(貸金業法21条1項)。そして、午後9時から午前8時まで、貸金業が訪問したり電話をすることは禁止されています(貸金業法1項1号・同法施行規則19条1項)。平穏な生活を害するような違法取り立てには毅然とした態度で望むことが肝要です。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.12.14更新

遺留分とは、ある人が生前贈与や遺贈などにより財産の処分をした場合でも、一定の財産について法定相続人に保障する制度です。遺留分は、被相続人(亡くなった人のこと)の財産処分を直接的に制約してこれを無効とするものではなく、相続開始時の財産状態に基づいて、一定の法定相続人が、生前贈与や遺贈などにより処分された財産を取り戻すことの出来る権利です。相続財産のうちの一定割合を請求できる権利を有する者を遺留分権利者といいます。遺留分権利者は、兄弟姉妹以外の法定相続人です。すなわち、配偶者、子、直系尊属が遺留分権利者です(民法1028条)。なお、胎児は出生したときに、子としての遺留分権が認められています(民法886条)。子の代襲相続人は遺留分を有しますが、代襲相続人が複数いるときには、被代襲者の遺留分が代襲相続人間に均等に配分されます(民法1044条、901条)。相続欠格者や被廃除者、相続放棄者は、相続人ではないから遺留分を有しませんが、相続欠格者・被廃除者の代襲相続人には遺留分が認められています(民法1044条、887条2項・3項)。

 

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2015.12.11更新

平成27年9月11日、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部を改正する法律が成立しました。この改正法で労働者派遣事業はどうかわるのでしょうか?改正法は、専門26業務の区分を撤廃し、派遣労働者を無期雇用であるか有期雇用であるかによって区分した上で、①無期雇用の派遣労働者については、派遣期間の制限を撤廃し、②有期雇用の派遣労働者については、派遣労働者単位で派遣期間の上限を3年と定めながら、派遣先・派遣元事業者に派遣労働者を別のものに入れ替えさえすれば派遣労働を永続することを可能とするものです。このような労働者派遣法の改正により、労働者の雇用と生活を不安定にする危険が高まっています。まず、「無期雇用の派遣労働者」というのは派遣元との雇用契約が無期の契約のことです。「無期雇用の派遣労働者」というと短期間の更新を繰り返す有期雇用と比べて雇用が安定していると考えるかもしれません。しかし、そもそも、派遣という働き方は、派遣元と派遣先の労働者派遣契約がなくなれば派遣先での仕事はなくなるというのが裁判所のスタンスです。つまり、無期契約の派遣労働者でも、派遣元と派遣先の契約がなくなれば、それまでの賃金と雇用を確保することはできないのです。リーマンショックなどでひとたび景気が悪化すれば、派遣先は派遣元との契約を即座に解除し、派遣労働者は切り捨てられてきました。そして、無期契約の派遣労働者も例外ではありませんでした。
改正法における無期雇用の派遣労働者については、直接雇用労働者との具体的な均等確保策がない中で派遣期間の制限を撤廃すれば、直接雇用労働者がより低い待遇の派遣労働者に置き換えられることになります。その結果、派遣労働者が臨時的、一時的ではなくなり、派遣労働者の常用代替が促進されます。また、有期雇用の派遣労働者についても、3年ごとに派遣労働者を別の者に入れ替えれば派遣労働者を使い続けることができるようになり、派遣労働が固定化され、派遣労働の常用が促進されます。このように、これまでは、「派遣は臨時的・一時的な働き方である」という原則が維持されてきたのですが、改正法により、派遣期間は実質的には撤廃されることになり、派遣という働き方が一般的な就労形態になって、派遣労働者のみならず労働者全体の雇用と生活が不安定になる可能性が高まったのです。

 

 

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