2015.07.28更新

マイナンバー制度のメリットとして国は以下のメリットをあげます。まず、①社会保障・税に係る行政手続きにおける添付書類が削減される。②マイナポータルのお知らせサービス等による国民の利便性が向上する③行政を効率化して人員や財源を国民サービスに振り向けられる④所得のより正確な捕捉によりきめ細やかな新しい社会保障制度が設計できるなどなどです。
では、マイナンバー制度のデメリットはなんでしょうか?まず、個人情報の流出が懸念されることが一番に挙げられます。マイナンバー制度は当初は行政機関のみでの利用となりますが、徐々に民間の取引でも利用が拡大されることが予想されますので、利用が拡大されていくのとあわせて個人情報の流出の懸念も拡大されていきます。銀行・証券などの金融業界でもマイナンバーを提示しないと取引しないという方向でのマイナンバーの利用が事実上強制されれば徐々に日本国内の金融機関に預け入れている個人資産額が国に正確に補足されるようになります。こうした預貯金口座へのマイナンバー適用の義務付けは現在でも検討されています。ところで、現在は諸々の給付金や税金・社会保険料の計算は所得ベースに行われており、資産額は考慮されていません。個人資産の正確な補足はできないからです。例えば10億円の金融資産があっても給与・事業等の所得がない限りは「低所得者」となり、低所得者向けの給付金がもらえたり社会保険料の負担が小さかったりします。しかし、マイナンバー制度の導入後は、金融資産も考慮に入れることになる可能性があります。自宅から遠く離れた場所に開設した銀行口座も、簡単に照会できるようになりますので、財産を隠して公的扶助を受けることは困難になります。また、銀行を通す場合は、贈与税の脱税が難しくなります。これまでは年間110万円までは無税のため、例えば400万円を贈与する場合、100万円を4回に分けて別々の口座に振り込めば、税務当局も贈与税の対象が分かりにくいといったことがありました。しかし、マイナンバーと銀行口座が紐付けられると、簡単に名寄せして一括りにできます。もっとも、これらはデメリットというよりメリットではないかといわれるかもしれませんが・・・。マイナンバーの最大のデメリットとして考えられているのが、国民の国内財産が正確に把握され、金融所得の課税が一体化し、総合課税が導入される可能性があることです。現在は株式・投資信託・FX等の利益にかかる税率は、基本的には分離課税で約20%です。いくら稼いでも一律です。究極にフラットでシンプルな税制となっています。他方、給与・不動産・事業などの所得は累進課税となっており、所得が増えれば増えるほど税率が上がります。このように、マイナンバー制度が導入されることを機として、金融所得についても総合課税が導入される可能性があります。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.07.27更新

国の行政機関や地方公共団体などにおいて、マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で利用されるとされています。そのため、年金・雇用保険・医療保険の手続、生活保護・児童手当その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書等にマイナンバーの記載を求められることとなります。また、税や社会保険の手続きにおいては、事業主(その他にも証券会社・保険会社などの金融機関)が個人に代わって手続きを行うこととされている場合もあります。このため、勤務先(その他にも証券会社・保険会社などの金融機関)にもマイナンバーの提出を求められる場合があります。なお、行政機関等がどのような場面でマイナンバーを利用するかについては、法律や条例で定められており、それ以外に利用することは禁止されています。一方、事業主は、源泉徴収票や支払調書等の作成の際にマイナンバーを取り扱うことになるため、マイナンバーの取得、利用・提供、保管・廃棄やマイナンバーを含む特定個人情報を漏洩したり紛失しないための安全管理措置などを構築してゆく必要があるのです。

 

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.07.26更新

本年(平成27年)10月からマイナンバー(個人番号)が通知され、来年(平成28年)1月からマイナンバーの利用が開始します。そもそも、マイナンバーとは、どのようなものでしょうか? マイナンバー制度においては、住民票を有する全ての人にに対して、1人1番号のマイナンバーを住所地の市町村長が指定します。原則として1度指定されたマイナンバーは生涯変わりません。国の行政機関や地方公共団体などでは、社会保障、税、災害対策の分野で保有する個人情報とマイナンバーとを紐づけて効率的に情報の管理を行い、さらにマイナンバーを活用して、同一の者に関する個人情報を他の機関との間で迅速かつ確実にやり取り(情報連携)することができるようになるといいます。 また、他人のマイナンバーを利用した成りすましを防止するための厳正な本人確認の仕組み、マイナンバーを保有する機関の情報管理や情報連携における個人情報保護の措置も取り入れているとしています。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.07.23更新

認知症や障害などで判断能力が十分でない人に成年後見人が選任されますが、成年後見人に選ばれた弁護士が財産を着服する事件が相次いだため、東京家庭裁判所は、弁護士の不正をチェックするために別の弁護士を後見監督人に選任する運用を開始したといいます。東京家裁は再発防止に厳しい姿勢で臨む考えのようですが、弁護士が弁護士の仕事に目を光らす仕組みに、「弁護士が信用されていない」との声もあります。多額の財産を預かるというだけで不正の兆候すらない段階で弁護士に監督人を付けることはおかしいとの声もあるが、まずは、弁護士・弁護士会が信頼を得られるよう実績を積み上げるしかないと思います。なお、全国の弁護士会は、後見人研修を義務づけたり、家裁への報告を怠らないように監督する仕組みをつくるなど、着服事件の再発防止策に取り組んでいるところです。

 

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.07.22更新

成年後見制度の普及に向け、自民・公明両党は新法を議員立法で国会に提出する方針を固めたとのニュースがありました。国や自治体に成年後見制度利用者を増やす基本計画の策定を義務付けるほか、成年後見人による財産の不正流用を防ぐため関係機関に監督強化の措置を求めるとのこと。被後見人の権利制限を見直す規定も盛り込まれました。
与党がまとめた「成年後見制度利用促進法案」は、悪質な後見人の財産流用などを防ぐため裁判所や関係省庁などで同制度を担当する人材を拡充するよう求め、新法の施行後3年以内をめどに制度利用者の権利制限を見直す内容となっています。これまでは、被後見人になると企業の役員や国家公務員、教員、弁護士、税理士など数多くの権利・資格が制限されていましたが、合理的な理由のない制限は可能な限り撤廃をめざすという内容です。利用者が手術や延命治療などの医療を受ける際の同意権など現在では含まれていない後見人の事務範囲も見直すもので、新法と同時に民法などの改正案も提出されます。裁判所の許可を得られれば後見人が利用者宛ての郵便物を自らのもとに送り、必要な書類を閲覧できるようにもなる模様。早ければ8月上旬にも国会に提出するようです。

 

 

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2015.07.21更新

熊本県相良村の職員の男性が休暇の日に行った作業で死亡した事故について公務災害と認められないのは違法だとして遺族が決定の取り消しを求めた裁判で熊本地方裁判所は平成27年7月17日、公務災害と認める判決を言い渡しました。
この事故は、平成22年5月、相良村の職員だった男性が有給休暇の日に村が村内の橋に設置していた地元の茶をPRするのぼり旗を直そうとしておよそ24メートル下に転落し死亡した事故について、公務災害だと認めなかった認定機関に決定の取り消しを求めていました。熊本地方裁判所は「『帰りがけに旗の様子を見に行く』と、同僚に連絡していたことなどから、修復作業中に転落したといえる」としたうえで、「直接の業務ではないが、橋を通った際に旗に異常があった場合は修復するよう課長から暗に指示を受けていた」として公務災害と認め決定の取り消しを命じました。
判決を受けて、認定機関の地方公務員災害補償基金は「休暇中の事故が公務と認められた前例がないため、関係機関と慎重に協議のうえ適切に対応したい」と話しています。なお、地方公務員災害補償基金に対して公務災害と認定するよう請求をし地方公務員災害補償基金が災害を公務外の災害と認定した場合、公務外認定処分の取消を裁判で争うことになり、通常は、地方公務員災害補償基金が相手方(被告)となり、地方公務員災害補償基金支部長が処分行政長になります。 

 


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2015.07.18更新

最大手のコンビニを手がける会社が、フランチャイズ(FC)契約を結んだ加盟店に対し、取引上の優越的地位を利用して、消費期限が近づいている弁当やおにぎりを値引きして売る「見切り販売」を不当に制限していたとして、公正取引委員会は独占禁止法違反(不公正な取引方法)で排除措置命令を出す方針を決めたとのニュースがありました。本来、自由にできるはずの見切り販売を加盟店の希望に反し同社本部が認めなかったため、公取委は同様の違反が起きないよう、改善を求めると見られます。公取委から排除措置命令が出れば全国のコンビニに見切り販売が広がる可能性があるとのことです。コンビニ業界内からは、常時の品揃えに影響し、安売り競争を誘発しかねないとの反発も出そうです。
なお、米飯等短期の販売期限が設定されたデイリー商品の値下げ販売を制限したため、コンビニエンスストアのFCチェーンを運営する会社との間で加盟店契約を締結して加盟店を経営してきた人が、販売する米飯等の短期の販売期限が設定されたデイリー商品の値下げ販売を制限・禁止したため損害を被ったとして損害賠償を求める等した裁判例があります。このような裁判では、加盟店に対し、値下げ販売を制限・禁止するようなFCチェーン運営会社の言動については、それが加盟店への運営方針に基づく助言指導の範囲にとどまるかぎりは価格決定の侵害ということはできないが、運営方針に基づく助言指導を超える言動については、価格決定の侵害として債務不履行・不法行為を問うべきことになるとの判断がなされています。

 

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2015.07.15更新

自動車の盗難被害に遭い、その犯人が盗難車で交通事故を起こした場合、車両の所有者は、交通事故の被害者に対して損害賠償責任を負うことがあるのでしょうか?自賠法3条の責任を問うための要件である「運行供用者」について、客観的・外形的に見て自動車の運行に対し支配して運行を支配・制御すべき責務があると評価される場合には,運行支配あるとされます。また、運行利益についても,諸般の事実関係を総合して客観的・外形的に観察して,法律上又は事実上,何らかの形でその者のために運行がなされていると評価される場合には,その運行利益が認められると判断されます。このように、盗難車の所有者の運行支配ないし運行利益は,仮に,泥棒運転のように運転者が主観的に返還意思を有していなかったとしても,そのことから直ちに運行支配ないし運行利益が否定されるものではないのです。このように、いわゆる泥棒運転の場合においても,窃取されたということから直ちに所有者の運行供用者責任が否定されることになるものではないので注意が必要です。つまり、盗難の場合においてさえ,車両所有者の管理形態や管理状況が問われることとなります。まさに車両所有者にとってみれば、踏んだり蹴ったりの結果さえありえるのです。

 

 

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2015.07.14更新

ある人に車を無償で貸していたところ、借主がその車で交通事故を起こしてしまった場合、車を貸してしまった車の所有者は責任を負うのでしょうか?このような場合、所有車を貸した人に損害賠償責任を問う根拠として自動車損害賠償法(「自賠法」)3条があります。自賠法3条は、『自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる』としています。自賠法3条の責任主体である「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)とは、自動車の使用についての支配権(運行支配)を有し、かつ、その使用により享受する利益(運行利益)が自己に帰属する者であるとされています。もっとも、自動車事故により人的損害を受けた被害者の保護を図るという自賠法の目的(自賠法1条)に照らせば,運行供用者の運行支配は,必ずしも当該自動車の運行に対する直接的具体的な支配の存在ではなく,社会通念上,すなわち客観的・外形的に見て自動車の運行に対し支配を及ぼすことのできる立場にあり,運行を支配・制御すべき責務があると評価される場合には,その運行支配が肯定されると考えられています。同じように、運行利益についても,必ずしも現実的具体的な利益の享受を意味するものではなく,諸般の事実関係を総合して客観的・外形的に観察して,法律上又は事実上,何らかの形でその者のために運行がなされていると認められると評価される場合には,その運行利益が認められると考えられています。このように、近時の裁判例の考え方として、運行利益についてはあまり重視せず、支配可能性や支配の責務といった要素を取り込んで判断しているようです。車を無償で貸していた例で言えば、現実的な運行利益は貸した人にはないかもしれませんが、客観的外形的な運行利益があるとみとめられれば、このような場合でも自動車の支配可能性や支配の責務があるので、自賠法3条の責任が認められることになるという結論になるのでしょう。なお、自賠法3条に基づいて物損についての損害賠償はできないので、注意が必要です。

 

 

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2015.07.13更新

他人の自動車に乗っていたところ、その自動車が事故を起こして同乗者が交通事故の被害者になった場合、被害者は好意同乗者として損害額が減額される場合があります。「好意同乗」とは、好意により無償で他人を自動車に同乗させることをいいます。かつて、被害者が好意同乗者であるという理由だけで損害額を減額するような裁判例もありました。しかし、現在の実務は、好意同乗者として減額する法的な根拠は過失相殺や公平の原則、信義則等を理由とします。そのため、好意同乗者として過失相殺等がなされるのは,同乗者自身が事故発生の危険が増大するような状況を作出させたり(例えば、過速度運転や蛇行運転を煽る等の行為をした場合),交通事故発生の危険が極めて高い客観的事実が存することを知りながらあえて同乗した場合(例えば、運転者が酒気を帯びていることを知っていて同乗した場合)など,交通事故の発生について同乗者に非難されるべき事情があることが必要な場合に限って減額するというのが現在の実務です。

 

 

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