2015.10.27更新

空家等対策の推進に関する特別措置法が平成27年5月26日から関連法規を含めて施行されました。そして、本日(平成27年10月27日)、同法に基づき、初めて強制対処(建物の解体)がなされたとのニュースがありました。ではなぜ、このような特措法が制定されたのでしょうか?これは、空家のうち適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているため、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要として制定されたものです(1条)。そして、同特措法では、著しく保安上の危険となるおそれがある空き家、著しく衛生上有害となるおそれがある空き家について、強制的に対処できる規定が設けられました。同法にいう「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいいます。ただし、国又は地方公共団体が管理するものを除きます(2条1項)。「特定空家等」とは「空家等」のうち、①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態②著しく衛生上有害となるおそれのある状態③適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空家等をいいます。こうした「特定空家等」に対処するために市町村長は、法律で規定する限度において空家等への調査(9条)、空家等の所有者等を把握するために固定資産税情報の内部利用(10条)等が可能となりました。また市町村は、空家等【建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る)を除く】に関するデータベースの整備等を行うよう努力する必要があります(11条)。市町村がこうした調査等を行った結果、特定空家の存在及びその所有者が判明します。では、特定空家等の所有者に対してまず最初に行われるのでしょうか?特定空家所有者に対してまず行われるのは、除却(解体)、修繕、立木竹の伐採等の助言又は指導です。
(特定空家等に対する措置)
第14条 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.09.07更新

アパートやマンションなどの賃貸物件を借りる際、家賃の2~3か月分程度の敷金が必要とされることが多いと思います。ところが、退去時に敷金が全く返ってこなかったり、ひどい例になると、ハウスクリーニング、クロス張り替え、畳表替えなどの原状回復費用として敷金以上の金額を請求されたという相談を受けることがあります。今までは、国土交通省のガイドラインなどを参考にして対応していましたが、ガイドラインは遵守しなくとも罰則等はありませんでした。改正民法案622条の2は敷金に関する規定を定めています。改正民法案では、敷金を「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」として、賃貸借が終了しかつ賃貸物の返還を受けたときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭債務の額を控除した残額の敷金の返還義務を規定しました。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.16更新

アパートの大家さんが「今度の契約の満期でアパートを貸す契約は更新しないので立ち退いてほしい。」と言っています。契約が満期をむかえれば契約更新できず,アパートは立ち退く必要があるのでしょうか。この点,借地借家法という法律で賃借人が住み続ける権利を保護しており,正当な理由がなければ解約の申し入れはできないとされています(借地借家法28条)。そして,「正当な理由」については,賃借人賃貸人が建物を使用を必要とする事情のほか,(耐久年数を大幅に超えて老朽化して朽ち果ててきたので早急な建て替えが必要であるなどの)①建物の現況に関する事情,②(従前借主側は賃料の滞納があった等の)建物賃貸借に関する従前の経過,③(立退料の有無やその額などの)財産上の給付についての事情等を考慮し,賃貸人及び賃借人双方の利害得失を中心にして判断されるのです。

 

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2015.06.08更新

では,区分所有法7条により,債権が先取特権の保護を受けることができる権利である場合,具体的にはどのような保護が受けられるのでしょうか?区分所有法7条は,「債務者の区分所有権(共用部分に関する権利および敷地利用権を含む)および建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。」とのみ規定しています。ですので,先取特権の客体としては,債務者の区分所有権(共用部分に関する権利および敷地利用権を含む)および建物に備え付けた動産ということになりそうです。そして,先取特権の順位について,区分所有法7条は,「2 前項の先取特権は,優先権の順位および効力については,共益費用の先取特権とみなす。」と規定しているので,区分所有法7条による先取特権は,ほかの一般先取特権よりは優先するが,債務者の特定の財産を目的とする特別の先取特権にはおくれることになります(民法329条2項本文)。そして,不動産先取特権は登記の必要はないが,登記のある(根)抵当権には後れることになり(民法336条),ローン残債がある場合には金融機関等の債権者(通常は(根)抵当権の登記をしている。)が優先されるため,先取特権を実行することによる(マンション管理費等の)滞納金の回収は難しくなりそうです。

 

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2015.06.05更新

マンション管理費を債務者である管理組合員(区分所有者)が故意に支払わない場合,最終手段として法的手続による回収を図ることになります。ここで,滞納者には外にも債権者がいる場合,マンション管理費について優先的に弁済を受けることができないでしょうか?区分所有者が管理費等を支払わない場合,管理費等の債権は,建物の区分所有等に関する法律(「区分所有法」)7条の規定に基づく先取特権により,滞納者に対する他の債権者に優先して弁済を受けることができる旨を規定しています。なお,先取特権とは,法律で定めた債権を有する者が,債務者の一定の財産から優先弁済を受けることができる担保物権です(民法303条)。区分所有法7条により,先取特権の保護を受ける権利は以下のとおりです。
 ①共用部分,建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の付属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について(例えば,他の区分所有者が滞納区分所有者のために管理経費(共用部分の水道光熱費・各種点検費・管理委託費等)を立て替えていた場合の立替者からの立替金請求権など)
 ②規約もしくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について(例えば,規約や集会決議で管理費や修繕積立金が定められている場合の管理費や修繕積立金の請求権など)
 ③管理者または管理組合法人がその職務または業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権について(例えば,区分所有法26条4項の規定により管理者または管理組合法人が区分所有者のために訴訟当事者となった場合,区分所有者全員に対して有する訴訟費用の前払請求権や償還請求権など)

 

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2015.06.04更新

マンションの区分所有者がマンション管理費を滞納したまま当該マンションを他人に譲渡した場合,滞納した管理費を買主に請求することはできるでしょうか。この点,区分所有法は,「前条一項に規定する債権(マンションの管理費等のこと)は,債務者たる区分所有者の特定承継人(買主などのこと)に対しても行うことができる。」と規定し(区分所有法8条),マンションの専有部分が売買で譲渡された場合でも,管理費等の債権については,滞納者である売主から買った買主に対しても請求できる旨を定めています。このように区分所有法8条が滞納者の特定承継人に対しても滞納管理費等の支払いを求めることができるとしたのは,区分所有者団体の構成員の地位がその財産上の持分を含めて区分所有権の移転に伴って移転することの反映であると説明されます。つまり,特定承継人(買主)は,その意思の如何にかかわらず,譲渡人と同一の債務を引き受けるべきものであると法律が定めたのです。

 

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2015.06.04更新

マンション管理費を滞納している人がいる場合,そのマンション管理費は消滅時効にかかるのでしょうか。マンションの管理費等の債権については,その性質をどうとらえるかが重要です。この点について,判例(最二小判平成16年4月23日民集58・4・959)は,管理費等の債権は①管理規約の規定に基づいて区分所有者に対して発生するものであり,②その具体的な額は総会の決議によって確定し,月ごとに所定の方法で支払われるものであると判示し,マンションの管理費等の債権は,民法169条の定期給付債権にあたるとしています。定期給付債権とは,基本権である定期金債権から毎期に生じる支分権としての債権であって,その毎期の間隔が1年以内の債権のことです。そのため,マンション管理費等の債権は,5年で消滅時効にかかってしまうことになります(民法169条)。

 

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2015.06.04更新

マンションの管理費とは,マンションの敷地及び共用部分等の維持管理のために恒常的に支出される費用をいいます。つまり,区分所有者が負担するマンション管理業務に対応して発生する費用です。マンション標準管理規約25条1項では,日常の維持管理に必要となる費用である「管理費」と計画修繕等で必要となる費用である「修繕積立金」を併せて「管理費等」と呼んでいます。なお,区分所有法は管理費等の範囲については直接は定めていませんが,マンション標準管理規約27条は,管理費等が充当される「通常の管理に要する経費」として,①管理人人件費②公租公課③共用設備の保守維持費及び運転費④備品費,通信費その他の事務費⑤共用部分に係る火災保険料その他の損害保険料⑥経常的な補修費⑦清掃費,消毒費及びごみ処理費⑧委託業務費⑨専門的知識を有する者の活用に要する費用⑩地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用⑪管理組合の運営に要する費用⑫その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用,を挙げています。

 

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