2015.06.05更新

マンション管理費を債務者である管理組合員(区分所有者)が故意に支払わない場合,最終手段として法的手続による回収を図ることになります。ここで,滞納者には外にも債権者がいる場合,マンション管理費について優先的に弁済を受けることができないでしょうか?区分所有者が管理費等を支払わない場合,管理費等の債権は,建物の区分所有等に関する法律(「区分所有法」)7条の規定に基づく先取特権により,滞納者に対する他の債権者に優先して弁済を受けることができる旨を規定しています。なお,先取特権とは,法律で定めた債権を有する者が,債務者の一定の財産から優先弁済を受けることができる担保物権です(民法303条)。区分所有法7条により,先取特権の保護を受ける権利は以下のとおりです。
 ①共用部分,建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の付属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について(例えば,他の区分所有者が滞納区分所有者のために管理経費(共用部分の水道光熱費・各種点検費・管理委託費等)を立て替えていた場合の立替者からの立替金請求権など)
 ②規約もしくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について(例えば,規約や集会決議で管理費や修繕積立金が定められている場合の管理費や修繕積立金の請求権など)
 ③管理者または管理組合法人がその職務または業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権について(例えば,区分所有法26条4項の規定により管理者または管理組合法人が区分所有者のために訴訟当事者となった場合,区分所有者全員に対して有する訴訟費用の前払請求権や償還請求権など)

 

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投稿者: 今村法律事務所

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