2015.06.08更新

では,区分所有法7条により,債権が先取特権の保護を受けることができる権利である場合,具体的にはどのような保護が受けられるのでしょうか?区分所有法7条は,「債務者の区分所有権(共用部分に関する権利および敷地利用権を含む)および建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。」とのみ規定しています。ですので,先取特権の客体としては,債務者の区分所有権(共用部分に関する権利および敷地利用権を含む)および建物に備え付けた動産ということになりそうです。そして,先取特権の順位について,区分所有法7条は,「2 前項の先取特権は,優先権の順位および効力については,共益費用の先取特権とみなす。」と規定しているので,区分所有法7条による先取特権は,ほかの一般先取特権よりは優先するが,債務者の特定の財産を目的とする特別の先取特権にはおくれることになります(民法329条2項本文)。そして,不動産先取特権は登記の必要はないが,登記のある(根)抵当権には後れることになり(民法336条),ローン残債がある場合には金融機関等の債権者(通常は(根)抵当権の登記をしている。)が優先されるため,先取特権を実行することによる(マンション管理費等の)滞納金の回収は難しくなりそうです。

 

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投稿者: 今村法律事務所

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