2015.12.24更新

年の瀬も迫り、毎日が慌ただしい時期になりました。ところで、「貸金業者への返済が一度滞ったところ、貸金業者が自宅や職場に何度も電話を掛けきたり、訪問したり、玄関に張り紙をしたりするなどの取り立てを行っているので困っています」との相談をこの時期に受けることがあります。しかし、このような取り立ては、平穏な生活を侵害し、また、日常の業務を妨害するものとして違法です。貸金業法は、貸金業を営む者の取り立て行為について規制しています。例えば、債務者の居宅・勤務先等の場所を債権者が訪問した場所で、債務者が退去すべき旨の意思表示をしたのに退去しない場合や、張り紙などで債務者の借り入れの事実等を明らかにすること等の言動をして人の私生活の平穏や業務の平穏を害するような言動をしてはならないとしています(貸金業法21条1項)。そして、午後9時から午前8時まで、貸金業が訪問したり電話をすることは禁止されています(貸金業法1項1号・同法施行規則19条1項)。平穏な生活を害するような違法取り立てには毅然とした態度で望むことが肝要です。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.08.07更新

翌月一括払いは割賦販売法の対象外のため抗弁権が認められていません。その上、翌月一括払いのために被害が高額化するケースが多くなるようです。たとえば、インターネットの副業サイトで高額な報酬がもらえると誘われたある消費者は、業務委託保証金として140万円を翌月一括払いでクレジット決済しました。ところが、報酬が得られないため解約を求めたところ業者と連絡がとれなくなりました。だまされたと思いカード会社に問い合わせたが「返金できない」との回答だったといいます。このケースでは、10回の分割払いにしていれば、気づいたときに抗弁権を主張して支払いを止めるよう求めることができました。その場合、最初の1回分14万円は引き落とされたとしても、残りの126万円は支払わなくても済んだ可能性があります。他の詐欺的被害では、クレジット会社に問い合わせても、ドル建て決済などで海外にあると思われる決済代行業者の場合でも、国内の連絡先を教えるだけで何もしてくれないケースがあったそうです。連絡先の電話番号にかけても誰も出ないことも少なくないといいます。国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられたクレジットカードの翌月一括払いに関する相談・苦情件数は、平成22年度の1万3213件から26年度は3万6553件と約2・8倍に増加しているそうです。翌月一括払い以外の相談・苦情件数が2万1737件(22年度)から1万9019件(26年度)と減少しているため、翌月一括払い消費者被害の相談が一層際立ちます。翌月一括払いのトラブル増加を受けて、経済産業省も割賦販売法の見直しを検討中ということです。ただ、翌月一括払いを割賦販売法の対象とすることにはクレジット業界などの反対も強く、見直されるかどうかは今後の議論を待つしかないようです。消費者の自衛策としては、怪しい商品の購入等にはクレジットカードの翌月一括払いを利用せず、仮にクレジットカードを利用するとしても分割払いを選択するのが賢明でしょう。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.08.06更新

クレジットカードで商品を購入し、翌月に一括して支払う翌月一括払いを利用されている方が多いと思います。手数料がかからないので現金代わりに利用するのではないでしょうか。実は翌月一括払いは、クレジット決済の多くを占めるそうです。ところで、割賦販売法では、消費者が購入した商品や受けたサービスなどに欠陥があった場合、クレジット会社からの支払い請求を拒否できる抗弁権が認められています。ところが、翌月一括払いを選択した消費者には、販売業者や商品などに問題があった際、クレジット会社からの支払請求を拒否できる割賦販売法上の抗弁権は認められていません。そのため、翌月一括払いを利用した消費者の被害が拡大しているといいます。消費者側からすれば、「翌月一括払いも分割払いも同じクレジット払いなので、法律上差異をもうけずに抗弁権を認めて欲しい。」と思うのも当然です。割賦販売法上の「割賦販売」とは、「購入者から商品若しくは権利の代金を、または役務の提供を受ける者から役務の対価を2月以上の期間にわたり、かつ、3回以上に分割して受領することを条件として指定商品若しくは指定権利を販売」することをいいます(割賦販売法2条)。ところで、クレジットカードの支払い方式には、(1)翌月一括(2)ボーナス一括払い(3)分割払い(4)リボルビングなどがあります。このうち翌月一括払いは、手数料を支払う必要がないことからクレジット決済の約9割を占め利用が多いそうです。一方で、クレジットを規制する割賦販売法の対象は(2)ボーナス一括(3)分割(4)リボルビングで、翌月一括払いは対象外となっています。割賦販売法はもともと産業育成のためにできたもので、消費者被害に対応して改正されてきた経緯があります。なお、以前はボーナス一括払いも対象外でしたが、平成20年の改正で対象に含まれるようになりました。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.12更新

平成18年の貸金業法等の改正に伴い,出資法の上限利率が20パーセントに引き下げられ,貸金業法でも利息制限法の制限を超える利息契約の締結が明文で禁止されたことから,利息制限法の上限利率を超える高金利の貸付が刑事法的には許容されなくなりましたその結果,街金融という高利貸業者は法的には存在が許されなくなり,そうした業者はいわゆるヤミ金融としてアンダーグラウンドの世界で跳梁するようになりました。ヤミ金業の融資は高金利での融資であるばかりでなく,そもそも回収が困難な債務者に対して融資するため,さまざまな手口を駆使します。例えば,不動産に抵当権設定の仮登記がなされることがあります。この仮登記の意味は,本登記手続をすると費用が高額になるため,仮登記をするものであり,債務者が不動産を任意売却する場合にハンコ代名目で回収するためと考えられます。また,売掛金等の債権について,金融機関は譲渡担保契約を締結した場合でも債務者に信用不安が生じないよう,第三債務者には通知せず,債権譲渡登記のみを経由している場合があります。このような債権について,ヤミ金業者から債務者破たんの場合に債権譲渡通知が送られてくることがあります。しかし,予め債務者に作成させた通知書を利用していることがあり,その法的効力は不明確ですから,第三債務者としては供託所に供託するのが賢明です。

 

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2015.05.25更新

相殺は,金融機関にとっては,効果的な債権回収手段ですが,破産手続や民事再生手続などの法的整理手続との関係では,相殺権の行使に制限がなされています。
まず,破産債権者が破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき,破産債権者は当該債務を受働債権とした相殺はできません(破産法71条1項1号)。たとえば,破産債権者が破産管財人から破産財団に帰属する財産を買い受けた場合の代金支払債務などについて相殺ができないのです。この場合に相殺を認めてしまうと,破産手続開始時に相殺に対する合理的期待をもっていたわけではないのに,破産債権者はこのような債務負担・相殺によって対価的な利益を取得することになるからです。
また,債務者が支払不能になった後,破産債権者と債務者との間で,悪意で破産債権との相殺に供する目的で,破産者の財産処分を目的とする契約等を締結してする相殺は認められません(破産法71条1項2号)。これは,例えば,支払不能にあった債務者(のちの破産者)所有不動産を債権者に対して売却させ,破産債権者がその債権と売買代金債務とを相殺する場合が挙げられます。これを認めると,破産債権者は,既に経済的価値を失っている破産債権を有しているにすぎないのに,相殺によって債権の名目額にみあった価値を有する不動産を取得する結果,他の債権者を害する結果となるためです。
このように,債務者の財産の適正かつ公平な清算を目的とする破産法との関係では,抜け駆け的な相殺に債権回収は許されていないのです。

 

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2015.05.22更新

代理人弁護士から破産の受任通知が送付されてきた場合,受任通知を受け取った者としてはどう対処すべきでしょうか。受け取った際,債務者に対する債権と相殺できる債務がないかの検討が必要です。相殺とは,2当事者間に相対立する債権債務がある場合,対立する債権と債務を対当額で消滅させる行為です。民法上,相殺には,双方の債務が弁済期にあることや債務の性質がこれを許すものであることなど,一定の要件が定められています(これを「相殺適状」といいます。)が,意思表示だけで債権回収できるため,効果的な債権回収手段の一つです。「弁済期が到来していること」に関していえば,例えば,普通預金は預金者がいつでも払い戻しを請求することができるので,常に弁済期にあるということになります。他方,貸金などで分割払いの約定がある場合,取引約定などで支払停止を期限利益喪失約款にしておき,受任通知を受け取った段階で期限の利益を喪失させることにより弁済期が到来し,相殺が可能な状態になります。

 

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2015.05.22更新

債務者に代理人弁護士が就き,代理人弁護士から受任通知が送付されてくることがあります。このような受任通知は,債務者の任意整理を行うにせよ破産手続等の法的整理手続の申立準備に入るにせよ,個々の債権者がそれぞれに債権取立てを行えば混乱するため,その債権取立てをしないように求めるとの意思表示を含みます。債務者としては従前の約定弁済をしないことを対外的に表示するものであるため,支払停止であると解することができます。金融機関では支払停止は,取引約定において期限の利益の当然喪失事由と定めるのが一般的であるため,このような受任通知がなされたことにより,債務者は期限の利益は喪失し,残債務全額について弁済期が到来することになります。なお,民法は期限の利益を喪失する場合として以下の場合を規定しているところ(137条),取引約定における特約がない場合,支払停止は期限の利益喪失事由ではありませんので注意が必要です。

 

1 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき
2 債務者が担保を滅失させ,損傷させ,又は減少させたとき
3 債務者が担保を供する義務を負う場合において,これを供しないとき

 

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2015.05.20更新

保証人は破産した主たる債務者の消滅時効を援用して債務を免れることができるでしょうか。前提として保証人は主たる債務の消滅時効を援用することができます。ただ,このことは主たる債務者が破産免責を受けた場合にも妥当するのでしょうか。そもそも破産免責決定を受けると消滅時効は進行するのでしょうか。この点について,判例は,免責決定の効力を受ける債権は,債権者において訴えをもって履行を請求しその強制的実現を図ることができなくなり,もはや民法166条1項に定める「権利を行使することができる時」を起算点とする消滅時効の進行を観念することができないから,保証人は主たる債務の消滅時効を援用することはできないとしています(最三小判平成11・11・9民集53.8.1403)。

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2015.05.20更新

個人である債務者が破産した場合,連帯保証人にも請求はできないのでしょうか。個人である債務者が破産した場合,破産・免責手続で免責許可の決定を受けると債務者は弁済の責任を免れます。ここで免責(責任を免れる)とは債権が消滅するのではなく,自然債務になるという意味と解されており,自然債務とは債務者が任意に弁済すれば債権者はこれを受領できるが,債権者からは請求はできないという状態になるのです。そこで,免責を受けても債権が消滅したわけではないので,債権者は連帯保証人に対して請求することができるという結論になるのです。また,債権者側からみても保証とはまさに債務者の破産のような場合に備える制度ですから,この結論は妥当ともいえるのです。

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2015.05.16更新

みなし弁済規定とは,利息制限法の上限利率を超える利息の支払いを,一定要件のもとで有効な支払いとみなす規定のことです(旧貸金業法43条).利息制限法の上限利率を超える利息契約は,利息制限法では無効だったのですが,旧貸金業法では,利息制限法の上限利率を超える利息であっても,債務者が任意に利息として支払った場合で,一定の書面が交付されている場合等は,有効な利息の弁済とみなすと定められていました。消費者金融業業界は,みなし弁済規定を利用して,利息制限法の上限を超過した利息の弁済を有効であるとの取り扱いを行ってきたのです。
しかし,このみなし弁済規定の適用は,相次ぐ最高裁判例により適用範囲を狭められて解釈され,ついには,平成18年の法改正で廃止されることになったのです。

 

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