2015.11.10更新

交通事故と労災保険 交通事故の当事者に代わって損害を填補するのが各種保険ですが、労働者の通勤中または業務中に交通事故が発生した場合は、労働者災害補償保険(労災保険)が適用されます。労働者災害補償保険法1条は「労働者災害補償保険は、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、傷害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護を図るため、必要な保険給付を行うこと」としています。業務中や通勤途中の交通事故においては労災保険が適用される可能性があるということです。では、労災保険は通勤途中の事故には全て使えるのでしょうか?「通勤災害」とは、労働者の通勤時における負傷、疾病、障害または死亡のことをいいます(労災法7条1項2号)。なお、「通勤」とは、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする」(労災法7条2項)とされています。なお、移動の経路を逸脱したり、中断した場合には、その逸脱又は中断の間及びその後の移動は通勤には該当しません。このようなことから、労災保険の適用を受ける通勤災害と認められるには、①通勤が終業に関するものであること②住居と就業の場所との間の往復であること③その通勤が合理的経路・方法であること④往復の経路を逸脱・中断していないこと、4つすべてが必要となります。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.11.09更新

自動車事故が発生すると、被害者にはさまざまな損害(人身損害、物的損害)が発生します。その損害のすべてを加害者負担とすると、その負担は多大なものになります。また、加害者に資力がなければ被害者自身が治療費や修理代を支払わなければなりません。そのため、交通事故の当事者に代わって損害を填補してくれるのが各種保険です。自賠責保険や任意保険のほか、たとえば、交通事故の被害者はその治療について健康保険を利用することもできます。健康保険とは、被保険者の業務外の事由による負傷・疾病・死亡・出産と、被扶養者の負傷・疾病・死亡・出産に関して保険給付を行い、被保険者の生活の安定に寄与することを目的とする社会保険です。交通事故との関係では、事故による疾病の治療を行う際に健康保険を使うこともできます。では、交通事故で入院した場合には、治療費について健康保険を使ったほうがよいのでしょうか?自動車事故による負傷については、通常はまず自賠責保険を使い切った後で健康保険等(交通事故が業務によるものならば労災保険)を使うことが一般的なようです。しかし、初めから健康保険や労災保険を使うこともできます。なお、医者は120万円までは自由診療費を請求できるので、自賠責保険を使う(使いたがる)傾向にあります。ところで、自由診療による治療費は健康保険等を利用した場合よりも相当高額になります。そこで、加害者側の支払能力が十分でない場合や、加害者が任意保険に未加入の場合には健康保険等を利用した方がよいでしょう。そして、自賠責保険からは休業補償をもらうようにします。なぜなら自賠責保険の傷害の保険金限度額(120万円)には、治療費のほかに休業補償も含まれているからです。例えば、自賠責を使っての治療費(自由診療分)が20万円だった場合、残り100万円を休業補償にあてることができるという考えです。なお、健康保険等と自賠責保険や任意保険のどちらにも請求できる場合でも、同一の損害につき二重の給付を受けることはできません。これらは、いずれも事故によって発生した損害を填補することを目的としているからです。

 

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