2015.11.09更新

自動車事故が発生すると、被害者にはさまざまな損害(人身損害、物的損害)が発生します。その損害のすべてを加害者負担とすると、その負担は多大なものになります。また、加害者に資力がなければ被害者自身が治療費や修理代を支払わなければなりません。そのため、交通事故の当事者に代わって損害を填補してくれるのが各種保険です。自賠責保険や任意保険のほか、たとえば、交通事故の被害者はその治療について健康保険を利用することもできます。健康保険とは、被保険者の業務外の事由による負傷・疾病・死亡・出産と、被扶養者の負傷・疾病・死亡・出産に関して保険給付を行い、被保険者の生活の安定に寄与することを目的とする社会保険です。交通事故との関係では、事故による疾病の治療を行う際に健康保険を使うこともできます。では、交通事故で入院した場合には、治療費について健康保険を使ったほうがよいのでしょうか?自動車事故による負傷については、通常はまず自賠責保険を使い切った後で健康保険等(交通事故が業務によるものならば労災保険)を使うことが一般的なようです。しかし、初めから健康保険や労災保険を使うこともできます。なお、医者は120万円までは自由診療費を請求できるので、自賠責保険を使う(使いたがる)傾向にあります。ところで、自由診療による治療費は健康保険等を利用した場合よりも相当高額になります。そこで、加害者側の支払能力が十分でない場合や、加害者が任意保険に未加入の場合には健康保険等を利用した方がよいでしょう。そして、自賠責保険からは休業補償をもらうようにします。なぜなら自賠責保険の傷害の保険金限度額(120万円)には、治療費のほかに休業補償も含まれているからです。例えば、自賠責を使っての治療費(自由診療分)が20万円だった場合、残り100万円を休業補償にあてることができるという考えです。なお、健康保険等と自賠責保険や任意保険のどちらにも請求できる場合でも、同一の損害につき二重の給付を受けることはできません。これらは、いずれも事故によって発生した損害を填補することを目的としているからです。

 

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投稿者: 今村法律事務所

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