2015.06.27更新

飲酒運転には、道路交通法上、酒酔い運転と酒気帯び運転があります。酒酔い運転とは、アルコール濃度の検知値には関係なく「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」である場合がこれに該当します。具体的には、直線の上を歩かせてふらつくかどうか、視覚が働いているか、運動機能・感覚機能が麻酔されていないか、言動などから判断・認知能力の低下がないかなどの点が総合的に判断されます。なお、軽車両(自転車を含む)の運転についても違法であり刑事罰の対象となります。
酒気帯び運転とは、血中アルコール濃度又はそれに相当するとされる呼気中アルコール濃度が、一定量に達しているかという形式的な基準で判断されます。このような判断基準の違いがあるので、運転者の体質によっては、酒気帯びに満たないアルコール量でも酒酔い運転に該当するということは十分に考えられます。罰則は、酒酔い運転が5年以下の懲役又は100万円以下の罰金で、酒気帯び運転が3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。また、違反点数は、酒酔い運転35点、酒気帯び運転は、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.25mg以上であれば25点、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.25mg未満0.15mg以上であれば13点です。
なお、車両提供者は運転者と同じ刑罰を科されます。つまり、運転者が酒酔い運転をした場合は、車両提供者は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に、運転者が酒気帯び運転をした場合は、車両提供者は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。また、酒類の提供者・車両の同乗者も処罰されます。運転者が酒酔い運転をした場合、酒類の提供者・車両の同乗者は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科され、運転者が酒気帯び運転をした場合、酒類の提供者・車両の同乗者は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。なお、道路交通法上の刑罰とは別に、公務員や会社に勤める人には懲戒処分という制裁があります。このように、現在、飲酒運転をしてしまうと飲酒運転に荷担した人たちも含めて非常に大きな代償を支払わなければなりません。

 

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.15更新

通信販売で痩せる健康食品などを買った場合,「ぜんぜん効果がない。」との理由で契約をなかったことにできないでしょうか。訪問販売などで勧誘されて購入するような場合は,契約内容を十分に理解しないで契約してしまうことがあり,この場合,一定の期間に契約を解除できる制度(クーリング・オフ)があります。しかし,カタログやチラシ,テレビやホームページなどの広告を見て,電話や郵便の方法で商品を購入するような通信販売については,法律上のクーリング・オフの制度はありません。これは,事前に広告を見て購入するような場合は,自分の意思で判断した上で商品を購入していると考えられるからです。もちろん,商品が広告の内容と違ったり,欠陥品であって契約目的を達成できないような場合は,契約を解除することもできますが,買ってみて不要だったり,思うような効果がなかったような理由で契約の解除をすることはできないのです。ただし,通信販売業者には,返品特約(返品の可否,返品期間等の条件,返品の送料負担の有無)に関する事項を広告に記載することが義務づけられています(特定商取引に関する法律11条,消費者庁経済産業省通達「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」)。返品はできないと広告に明示されていれば,返品はできないことになりますが,もしも,通販業者がこの義務を守らず,返品特約を明示していなかった場合には,商品の引渡しを受けた日から起算して8日以内であれば購入者が撤回・解除をして返品(返送費用は購入者負担)できます(特定商取引に関する法律15条の2)。このような返品特約等による解除ができない場合でも,商品を開封していない場合や使っていない場合,返品について交渉する余地はあります。ただし,業者が任意に応じるかどうかの問題ですので,返送費用に加えてキャンセル料を払うなどのかなり譲歩した条件を提示する必要があるかもしれません。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.10更新

平成27年6月1日,改正道路交通法が施行されたことにより自転車運転者の取締りが強化されました。自転車は法制度上,軽車両に分類されるので,交通反則制度の適用がありません。ところで,反則行為に該当しない道路交通法違反(①非反則行為(危険性や悪質性の高い行為)および②軽車両(自転車等)の運転者または歩行者による違反行為全般)についてはいわゆる「赤キップ」が交付される場合があります。この赤キップを簡単に説明すると,赤キップには、警察および簡易裁判所等への出頭に関する情報が記載されています。道路交通法違反事件において①違反者の居所又は氏名が明らかでないとき,また,逃亡するおそれがあるとき②交通切符の受領を拒否するとき③違反の態様が重大であるとき④その他悪質であると判断した時は通常の刑事捜査が行われる場合があります(逮捕・補導など)。交通切符の交付を受けて理由無く出頭しない場合,また,交通反則通告制度における告知または通告を受けた行為について同制度が適用されない結果として刑事手続・少年保護手続を受けた場合において,受けた後に理由無く出頭しない場合などで特に悪質であると判断した時も同様です。
従前は,自転車には「青キップ」がなく,「注意」か「赤キップ」しかありませんでした。自転車の違反行為については,「注意」か「赤キップ」かという落差の大きい状態だったのです。今回の道路交通法の改正は,「注意」と「赤キップ」の間を埋める規制を目的として行われました。
そして,改正道路交通法の特徴として,自転車運転中に信号無視や一時不停止などの一定の危険な違反行為を繰り返すと自転車運転者には講習の受講が義務付けられるようになりました。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.08更新

平成27年6月1日,改正道路交通法が施行され,自転車運転者に対する取締りが強化されました。この改正道路交通法を理解するためには,まず,交通反則制度について理解する必要があります。交通反則通告制度(「通告制度」)は,増加の一途をたどる道路交通法違反事件の処理手続を合理化するため,この種の事件のうち,車両等(自転車などの軽車両を除く。以下同じ。)の運転者がした運転に関する違反行為で,危険性の高くない,又は悪質でないものについて,刑罰によらず,反則行為の種別ごとに額が定められたいわゆる反則金を科す制度です。その処理手続きについては,道路交通法第9章に「反則行為に関する処理の特例」として規定されています(なお,この制度は,昭和43年7月1日から実施され,当初は成人に限って適用されていたが,昭和45年8月20日から少年にも適用されるようになりました。)。
反則行為とは,車両等の運転者がした運転に関する違反行為であって,次の【①から④】ような危険性の高い,又は悪質な違反行為を除いたものとしています(道路交通法125条1項,同法施行令45)。【①過失建造物損壊②交通事故の場合の措置義務違反③酒酔い,無免許,過労等の運転④最高速度違反のうち,超過速度が30キロメートル毎時以上(高速道路においては40キロメートル以上)のもの】
この制度の適用を受ける者を反則者とよび,反則金という金銭を国に納めなければなりません。この反則金の性格は,反則者が任意に納付する金銭であり,刑罰である罰金や科料とは異なります。また,強制徴収される過料とも異なります。そのため,反則金は,前科ではありません。なお,「交通反則告知書」の書式が青い紙に印刷されているため「青キップ」と呼ばれています。青キップには交通反則告知書のほかに交通反則通告書等が一組にして綴じられています。

 

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投稿者: 今村法律事務所

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