2015.06.20更新

高齢化社会のなかで成年後見制度が広く浸透し、市民の方でも成年後見人に就任されている方がいらっしゃると思います。この前、依頼者の人と一緒に家庭裁判所で成年後見人DVDを見てきました。30分くらいのDVDでしたが、その中で、「成年後見人としての職務はずっと続き、成年後見人は簡単に辞任することができません。」というメッセージが繰り返されていました。では、ご本人さんが死亡した後も成年後見人の地位は続くのでしょうか。実は、成年被後見人の死亡が成年後見人の地位の終了をもたらすかどうかについて、直接規定した条文はありません(なお、民法111条1項は、本人の死亡により代理権が消滅すると規定するのみです。)。これについて、民法858条は、「成年後見人は,成年被後見人の生活、療養看護、及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては,成年被後見人の意思を尊重し,かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と規定しています。ここで「成年被後見人の生活」とあるので、成年被後見人の死亡が後見事務の終了をもたらす事由といえそうです。なお、「相続は死亡によって開始する」(民法882条)ため、成年被後見人の死亡によって成年後見人が管理していた財産は相続財産となります。そのため、成年被後見人が死亡後に成年後見人がその財産(相続財産)を管理する根拠となる規定の創設を日弁連が要請しているところです。

 

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投稿者: 今村法律事務所

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