2015.08.07更新

翌月一括払いは割賦販売法の対象外のため抗弁権が認められていません。その上、翌月一括払いのために被害が高額化するケースが多くなるようです。たとえば、インターネットの副業サイトで高額な報酬がもらえると誘われたある消費者は、業務委託保証金として140万円を翌月一括払いでクレジット決済しました。ところが、報酬が得られないため解約を求めたところ業者と連絡がとれなくなりました。だまされたと思いカード会社に問い合わせたが「返金できない」との回答だったといいます。このケースでは、10回の分割払いにしていれば、気づいたときに抗弁権を主張して支払いを止めるよう求めることができました。その場合、最初の1回分14万円は引き落とされたとしても、残りの126万円は支払わなくても済んだ可能性があります。他の詐欺的被害では、クレジット会社に問い合わせても、ドル建て決済などで海外にあると思われる決済代行業者の場合でも、国内の連絡先を教えるだけで何もしてくれないケースがあったそうです。連絡先の電話番号にかけても誰も出ないことも少なくないといいます。国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられたクレジットカードの翌月一括払いに関する相談・苦情件数は、平成22年度の1万3213件から26年度は3万6553件と約2・8倍に増加しているそうです。翌月一括払い以外の相談・苦情件数が2万1737件(22年度)から1万9019件(26年度)と減少しているため、翌月一括払い消費者被害の相談が一層際立ちます。翌月一括払いのトラブル増加を受けて、経済産業省も割賦販売法の見直しを検討中ということです。ただ、翌月一括払いを割賦販売法の対象とすることにはクレジット業界などの反対も強く、見直されるかどうかは今後の議論を待つしかないようです。消費者の自衛策としては、怪しい商品の購入等にはクレジットカードの翌月一括払いを利用せず、仮にクレジットカードを利用するとしても分割払いを選択するのが賢明でしょう。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.08.06更新

クレジットカードで商品を購入し、翌月に一括して支払う翌月一括払いを利用されている方が多いと思います。手数料がかからないので現金代わりに利用するのではないでしょうか。実は翌月一括払いは、クレジット決済の多くを占めるそうです。ところで、割賦販売法では、消費者が購入した商品や受けたサービスなどに欠陥があった場合、クレジット会社からの支払い請求を拒否できる抗弁権が認められています。ところが、翌月一括払いを選択した消費者には、販売業者や商品などに問題があった際、クレジット会社からの支払請求を拒否できる割賦販売法上の抗弁権は認められていません。そのため、翌月一括払いを利用した消費者の被害が拡大しているといいます。消費者側からすれば、「翌月一括払いも分割払いも同じクレジット払いなので、法律上差異をもうけずに抗弁権を認めて欲しい。」と思うのも当然です。割賦販売法上の「割賦販売」とは、「購入者から商品若しくは権利の代金を、または役務の提供を受ける者から役務の対価を2月以上の期間にわたり、かつ、3回以上に分割して受領することを条件として指定商品若しくは指定権利を販売」することをいいます(割賦販売法2条)。ところで、クレジットカードの支払い方式には、(1)翌月一括(2)ボーナス一括払い(3)分割払い(4)リボルビングなどがあります。このうち翌月一括払いは、手数料を支払う必要がないことからクレジット決済の約9割を占め利用が多いそうです。一方で、クレジットを規制する割賦販売法の対象は(2)ボーナス一括(3)分割(4)リボルビングで、翌月一括払いは対象外となっています。割賦販売法はもともと産業育成のためにできたもので、消費者被害に対応して改正されてきた経緯があります。なお、以前はボーナス一括払いも対象外でしたが、平成20年の改正で対象に含まれるようになりました。

 

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