2015.06.25更新

公証人が作成する公正証書遺言が遺言をした本人の認知症などを理由として無効になることってあるのでしょうか。民法は、遺言者の能力について「15歳に達した者は、遺言をすることができる」と規定し(民法960条)、15歳に達した者はだれでも、どんな状態でも、遺言をすることができるようにも思えます。しかし、遺言をすることによって財産権の移転等重大な結果をもたらしますので、やはり相応の能力が必要と解されています。そして、その能力としては、遺言の内容及び当該遺言に基づく法的結果を弁識・判断するに足りる能力であるとされています。ただ、通常、公正証書遺言の内容は比較的単純なものであるから、その作成には契約などの際に必要な高度の能力までは要しない考えられています。前にも触れましたが、日本公証人連合会は、判断能力を確認する公証人研修などを増やして対応しているといいますが、公証人は医者ではないので、その人が認知症に罹っているかどうか、仮に罹っていることが判明したとしても遺言能力を有しているかどうかについて必ずしも判別できるとは限りません。そこで、後日、公正証書遺言が無効であるとして多数の裁判が提起されることになるのです。そして、遺言無効確認裁判提起時においては、遺言をした本人は他界していますので、作成時において遺言者が不可解な言動をしていなかったか、他人とスムーズに意思疎通していたかなどを少ない資料から推測し、遺言能力があったかどうかを判断することになるのです。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.24更新

遺言公正証書の年間作成件数が2014年に初めて10万件を突破したのは、税制改正で、相続税が非課税になる基礎控除額が従来の6割に引き下げられたことも一つの要因となっているかもしれません。すなわち、いままで相続税に無関係だった層も課税対象となるため、トラブル防止のために遺言公正証書のニーズが高齢者の間で高まっているのかもしれません。一方、遺言を残した人の判断能力が認知症などで疑われる場合、死後に遺言の有効性を巡って親族間で訴訟に発展する例もあります。このため、日本公証人連合会は、判断能力を確認する公証人研修などを増やして対応しているといいます。なお、公証人は、裁判官や検察官などを長年務めた人の中から法務大臣により任命されます。全国約300カ所の公証人役場に約500人の公証人が勤務しています。
他方、公正証書の保管も重大な課題となっています。東日本大震災では宮城県石巻市の公証人役場が津波の被害に遭って保管書類が流されそうになったことから、全国の公証人役場は平成26年4月から、遺言公正証書のデジタル保存を始めたそうです。災害に備えて原本をスキャナーで読み取り,デジタル化した遺言公正証書データを山間部にあるサーバーで保存しているとのことです。

 

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.24更新

遺言公正証書の年間作成件数が2014年に初めて10万件を突破したとのニュースがありました。日本公証人連合会の調べによると、遺言公正証書は1971年には1万5000件、1980年は約3万件、2000年は約6万件であり、この間明らかに遺言公正証書は増え続けています。これは、高齢化が急速に進んでいることに加え,核家族化や事実婚に代表されるように家族の形態が多様化したため、法律の規定とは異なる相続を望む人が増えているということも背景にあるのではないでしょうか。社会には、たとえば、「夫婦には子供がいないが、仲の悪い兄弟には財産を渡したくない。」とか「近くに住んで面倒をよく見てくれた次女に他の兄弟姉妹よりも多くの財産を相続をさせたい。」とか「内縁の妻に財産を残したい。」とか様々なニーズがあるので、遺言公正証書がこのようなニーズに応えているようです。なお、今後も遺言公正証書のニーズは増え続けると予想しており、日本公証人連合会では、遺言を確実に保管するために証書のデジタルデータ化にも取り組んでいくそうです。なお、気になる遺言公正証書の作成手数料ですが、これは遺産額で決まり1000万~3000万円の場合は相続人1人あたり2万3000円だそうです。

 

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.06.20更新

高齢化社会のなかで成年後見制度が広く浸透し、市民の方でも成年後見人に就任されている方がいらっしゃると思います。この前、依頼者の人と一緒に家庭裁判所で成年後見人DVDを見てきました。30分くらいのDVDでしたが、その中で、「成年後見人としての職務はずっと続き、成年後見人は簡単に辞任することができません。」というメッセージが繰り返されていました。では、ご本人さんが死亡した後も成年後見人の地位は続くのでしょうか。実は、成年被後見人の死亡が成年後見人の地位の終了をもたらすかどうかについて、直接規定した条文はありません(なお、民法111条1項は、本人の死亡により代理権が消滅すると規定するのみです。)。これについて、民法858条は、「成年後見人は,成年被後見人の生活、療養看護、及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては,成年被後見人の意思を尊重し,かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と規定しています。ここで「成年被後見人の生活」とあるので、成年被後見人の死亡が後見事務の終了をもたらす事由といえそうです。なお、「相続は死亡によって開始する」(民法882条)ため、成年被後見人の死亡によって成年後見人が管理していた財産は相続財産となります。そのため、成年被後見人が死亡後に成年後見人がその財産(相続財産)を管理する根拠となる規定の創設を日弁連が要請しているところです。

 

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