2015.10.27更新

特定空家所有者に対して行われる助言や指導を受けても放っておいたらどうなるのでしょうか?助言や指導を受けても改善しなければ、猶予期限を付けて改善するように勧告します。勧告くらいならば、まだ何もしなくて大丈夫なのでしょうか?ところが、勧告の対象になると、後述する固定資産税の特例対象から除外されます。つまり、助言や指導の時点で市町村がペナルティーを出す一歩手前と考えなくてはなりません。勧告にも従わず改善されないと猶予期限を付けて改善命令が出されます(14条Ⅲ)。このとき、対象者には意見を述べる機会(意見書や意見聴取)や自己に有利な証拠を提出する機会が与えられるので、どうしても改善できない理由があるなら、この機会を利用して陳述や証拠を提出することができます。その後、改善命令の猶予期限を過ぎても改善を完了できないと、いよいよ強制対処となります。ここで注意しなければならないのは、命令を受けて改善に着手すれば良いのではなく、猶予期限までに改善を完了しなくてはならないという点です。強制対処について定められた規定(14条Ⅸ)は、「~その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは」と強制対処することができるとしています。そして、履行しない等と認定されると、行政代執行法の定めるところに従い、市町村自ら義務者のなすべき行為(建物解体等)をし、又は第三者をしてこれをさせることができます。このように、改善命令を無視した場合、改善に着手しても不十分な場合、改善が猶予期限までに完了の見込みがない場合のいずれでも、市町村は強制対処が可能です。つまり、「やっているフリ」では許されない厳しい規定になっているのです。

 

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投稿者: 今村法律事務所

2015.10.27更新

空家等対策の推進に関する特別措置法が平成27年5月26日から関連法規を含めて施行されました。そして、本日(平成27年10月27日)、同法に基づき、初めて強制対処(建物の解体)がなされたとのニュースがありました。ではなぜ、このような特措法が制定されたのでしょうか?これは、空家のうち適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているため、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要として制定されたものです(1条)。そして、同特措法では、著しく保安上の危険となるおそれがある空き家、著しく衛生上有害となるおそれがある空き家について、強制的に対処できる規定が設けられました。同法にいう「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいいます。ただし、国又は地方公共団体が管理するものを除きます(2条1項)。「特定空家等」とは「空家等」のうち、①倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態②著しく衛生上有害となるおそれのある状態③適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空家等をいいます。こうした「特定空家等」に対処するために市町村長は、法律で規定する限度において空家等への調査(9条)、空家等の所有者等を把握するために固定資産税情報の内部利用(10条)等が可能となりました。また市町村は、空家等【建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る)を除く】に関するデータベースの整備等を行うよう努力する必要があります(11条)。市町村がこうした調査等を行った結果、特定空家の存在及びその所有者が判明します。では、特定空家等の所有者に対してまず最初に行われるのでしょうか?特定空家所有者に対してまず行われるのは、除却(解体)、修繕、立木竹の伐採等の助言又は指導です。
(特定空家等に対する措置)
第14条 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。

 

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